女王が思い描く大舞台とは――。2024年パリ五輪で実施される新競技・ブレイクダンス女子の湯浅亜実(23=ダンサー名・AMI)が、単独インタビューに応じた。10月の世界選手権(ソウル)で2度目の優勝を果たすなど国内外で存在感を発揮。その金メダル候補が、当初は競技の五輪入りに不安を感じていた理由やパリへの思い、環境改善への期待などを激白した。
――世界選手権で金メダルを獲得。パリ五輪に向けて弾みをつけた
湯浅(以下AMI)多くのBBOY、BGIRL(ブレイクダンスを踊る男女)が来ていて、一戦一戦すごく楽しかったです。
――大会の収穫は
AMI 大きなケガではないんですけど、実は(大会前から)手首を負傷していて。ただ、ケガもあった中でちゃんとピークを持っていけたなと。焦って練習せず、それを言い訳に休み過ぎることもなかった。あとはすごく楽しめました。
――五輪で初採用となったことは、率直にどう受け止めている
AMI 今は自分にとってチャンスも増えているし、自分だけじゃなくてBBOY、BGIRLにとって活躍の場も広がるし、五輪になることで多くの人に知ってもらえるので、すごいポジティブな気持ちなんですけど、決まった時は不安もありました。
――不安とは
AMI ブレイキン(ブレイクダンス)って体を使って体のケアもするし、そう考えるとやっていることはアスリートと一緒。だけど、私にとってダンスはスポーツというよりアートに近いんですよね。もちろんバトルになれば優勝を目指してやるけど、勝ち負けを100%では決められないものだと思っていて。マラソンみたいにタイムがあるわけじゃない。
――勝敗は審査員の評価に委ねられている
AMI それこそ好みもあるし、スポーツになることによってブレイキンの良さがなくなっちゃうんじゃないかと。みんなが個性をぶつけ合って戦っているのに、五輪によって教科書みたいなものができてしまったら、同じようなダンスばかりになってつまんなくなるんじゃないかとか。正直(五輪に)決まった時はうれしさより心配がありました。
――前向きに受け止めることができた理由は
AMI 五輪に向けて仕切ってくれる人がKATSU ONEさん(石川勝之・日本ダンススポーツ連盟ブレイクダンス本部長)や自分がリスペクトしている人たちと聞いて、それなら変な方向には行かないなと。ブレイキンの本質を大事にしていくんだなと思い、私も挑戦しようと考えるようになりました。
――一方、体調管理はアスリートそのものだ
AMI 体を大きくして見せる人、逆に細めで軽さを見せたい人などそれぞれなんですが、私はシャープに見える体形を維持しようと。(体重は)44、45キロがベストだと思ってます。やせすぎても体力がなくなるので、もっと絞ったこともあるんですけど、ベースはそこに置いてます。
――昨年の東京五輪でスケートボードに注目が集まったように、パリ五輪で人気に火がつく可能性もある
AMI 多くの人に知ってもらえるのはすごくうれしい。みんなストリートとか道端で真剣に練習しているんだけど、ちょっと見栄えが悪いとか、そういうのがある中で五輪をきっかけに施設が使いやすくなったり、練習環境が増えたらいいなと。
――五輪まで2年を切り、気持ちの高まりは
AMI ここまで来たからには、もちろん五輪に行きたい。でも、国から2人ずつで16人しか行けない。そこにフォーカスしすぎて目の前の大会に挑戦できなくなるのは嫌なので、ブレイキンが大好きだということを忘れずに自分の気持ちを大切にしたいですね。
☆ゆあさ・あみ 1998年12月11日生まれ。埼玉県出身。姉・亜優(AYU)の影響で小学1年からダンスを始め、高学年になってから本格的にブレイクダンスに取り組む。国内外の大会で優勝経験を持つ石川勝之(KATSU ONE)氏の指導を受け、姉妹でタイトルを獲得するなど実力を伸ばす。2019年に世界選手権優勝。同年全日本選手権2位。翌20年に全日本選手権初優勝。21年世界選手権準優勝。155センチ。
【トーナメントでメダル争い】ブレイクダンスは2020年12月にパリ五輪の追加競技として採用された。男女各16人で争われ、各国・地域の出場枠は最大2。23年世界選手権の優勝選手1人、大陸競技会(大陸選手権)優勝選手計5人、オリンピック・クオリファイヤー・シリーズ・イベント(OQS)上位10人が選出される。
日本ダンススポーツ連盟(JDSF)関係者によると、本大会は16人を4人ずつ4組に分けて総当たり戦を行い、各組上位2人計8人によるトーナメントでメダルを争うという。対戦は1対1のバトル形式で2ラウンド(R)先取制となる見通し。9人の審査員で1Rごとに勝敗を決める。












