プロ野球「沢村賞」の選考委員会が24日に東京都内のホテルで開かれ、オリックスの山本由伸投手(24)が昨年に続いて選出された。2年連続の受賞は史上6人目。その一方で本紙評論家・前田幸長氏は山本の偉業を称賛しながらも、22日の日本シリーズ第1戦でアクシデントから途中降板に追い込まれたことについては不慣れな〝神宮マウンド〟との因果関係を指摘。オリックスが逆転日本一を狙うキーポイントに関しても「第6戦以降のアジャスト」とし、注目発言を口にした。
【前田幸長・直球勝負】もう文句なしの選出だろう。山本の沢村賞受賞に異論を唱える人は誰もいないはずだ。今季は15勝5敗、防御率1・68、205奪三振といずれもリーグトップの圧倒的な数字を残し、これで2年連続の「投手4冠」に輝いた。とにかく「すごい」の一言に尽きる。
現時点の山本は、投手として「95%以上は完成している」と評しても過言ではない。強いて言うなら、残りの5%は「経験値」か。それを何となく感じ取ったのが、22日の日本シリーズ第1戦で立った敵地・神宮球場での先発マウンドだ。立ち上がりからいつものキレを欠いてレギュラーシーズン中にもなかった1試合2本塁打を浴び、5回途中に左わき腹の異常をベンチに自ら訴えて降板。4回0/3を4失点でまさかの敗戦投手となった。
個人的には神宮の独特のマウンドが大きく影響したのではないかと見ている。山本が神宮で投げたのは2018年6月8日の交流戦でリリーフ登板した1イニングのみ。この当時も打者5人を相手に失点こそしなかったが、1四球1安打を許して苦しんだ。
私の現役時代の印象で言えば、神宮のマウンドは確かに〝クセ〟がある。具体的には、他の球場と比べ、プレートから足を踏み込む位置の土が「高い」のだ。中日、巨人に在籍していた時代、神宮の三塁側ブルペンで投球練習を行う時は特に違いを感じないものの、いざマウンドで7球の投球練習をしているときに、思わず「うわっ、高っ!」と叫んだことは1度や2度ではない。要はいつもの感覚で投げると、高めに浮いてしまうのだ。
エースだけではない。この神宮のマウンドに関しては、オリックスの投手陣全体にかかわる〝重要事項〟と言える。ヤクルトとは2年連続での顔合わせだが、昨年の日本シリーズではスケジュール上の問題で神宮球場が使用できず相手の本拠地は東京ドームだった。
特にオリックスのリリーフ陣には速球派が多く、神宮のマウンドにタイミングが合わないとどうしても抜け球が多くなってしまう。「ブルペンでは大丈夫だったのに、なぜなんだ」と自問自答しているうちに短いイニングでは修正が利かなくなり、ドツボにハマっていく悪循環はいわば「神宮の負のスパイラル」だ。
1敗1分とされたオリックスが今後巻き返しを図って逆転日本一をつかむには、第6戦以降の神宮球場での戦いは絶対に避けて通れない。コンディションの回復具合を加味すれば山本の第6戦登板は微妙かもしれないが、エースも含め、オリックス投手陣は「神宮マウンド」にアジャストする必要がある。
一方のヤクルトは、ここにきてオスナや塩見といったチームの流れを一気に好転させることのできる〝ラッキーマン〟たちがポストシーズンで活躍し打線に活気を与えているところは、大きな強みだ。今のところ3番の山田が不調でも主砲・村上は無論、他の面々で十二分にカバーできている。この層の厚いスワローズの強力打線をオリックス投手陣がいかに封じ込められるか。第3戦以降も注視していきたい。
(本紙評論家)












