警視庁は30日、大手回転すしチェーン「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトの田辺公己社長(46)を、競合する「はま寿司」の営業秘密に当たる情報を不正に取得したとして不正競争防止法違反容疑で逮捕した。警視庁はカッパ社幹部とはま寿司時代の部下も逮捕し、法人としてのカッパ社も同容疑で書類送検して捜査する方針だ。
はま寿司の取締役だった田辺社長は2020年11月にカッパ社に移り、21年2月から社長に就任。はま寿司時代の部下から、はま寿司の仕入価格や売り上げデータなどをメールで受け取ったという。
かつて回転すし業界トップに君臨したかっぱ寿司だが、今や3位のはま寿司に売り上げで〝ダブルスコア〟をつけられての4位。近年は食べ放題などを導入して巻き返しを図っていたが、やはり苦しかったのか?
企業経営に詳しい経済評論家の山本伸氏はこう話す。
「客単価当たりの利益が大きくない格安回転すし業界にとって、コストダウンは必須。特に現在は魚の仕入価格が高騰しており、仕入れ業者の選定は最重要課題で各社の最高機密だ。今回、仕入れ価格のデータが持ち出されており、ライバルの仕入れ業者を特定して奪うなど、自分たちが有利になる目的があったのではないか」
現在、コロワイド傘下のかっぱ寿司だが、実は業界トップだった2000年代はゼンショーと資本業務提携を結んで躍進した。その後、07年に提携解消を発表してから業績が悪化。14年からコロワイド傘下となっている。一方、田辺容疑者とカッパ社を告発したはま寿司は、かつてかっぱ寿司の〝白馬の騎士〟だったゼンショー傘下で好調を維持している。もともと両社には因縁があるのだ。
それにしても自分が取締役まで務めた会社の最高機密を持ち出して、自ら移った競合する会社で利用しようとは経営者としてやってはならない行為だ。だが、こうした〝産業スパイ行為〟はほかにも起きており、昨年には携帯電話キャリア2社の間でも、機密情報を持ち出したとして不正競争防止法違反で逮捕者が出るなど、明るみに出る機会が増えている。
「こうした産業スパイ行為は昔から横行していたが、近年は厳しく取り締まられるようになっている。飲食店ならどこに出店すれば売れるか、携帯電話キャリアならどこにアンテナを設置すればいいか、といったリサーチ業務は経営を左右する重大情報だが、そのコストはばく大。しかし、不景気の企業に余裕はなく、だからこそ他社の情報を楽に手に入れようとする動きも加速している」(山本氏)
カッパ社を救うために、はま寿司からやってきた田辺容疑者だが、逆にブランドに傷をつけてしまったようだ。












