元ロッテ投手で通算215勝を挙げた村田兆治容疑者(72)が23日に暴行容疑で現行犯逮捕された。羽田空港での搭乗時、金属探知機をめぐるトラブルで、女性検査員の肩を押すなどした疑い。「マサカリ投法」で親しまれ、野球殿堂入りも果たしたレジェンド選手の逮捕劇に球界は騒然となったが、ロッテ時代の後輩・愛甲猛氏(60)もその一人。アウトローの限りをつくした「球界の野良犬」が、今回の件で〝アドバイス〟した中身とは…。

 ――村田兆治さんが逮捕された

 愛甲 驚きました。まだ詳しい状況がよく分からないけれど、村田さんの〝スイッチ〟が入ってしまったのかなあという印象です。

 ――スイッチとは

 愛甲 オレもロッテ時代、村田さんにはずいぶんかわいがってもらったんだけど、村田さんはとても実直な人。言い方を変えれば「融通が利かない人」ということになってしまうんですけど、自分が納得できないことに直面すると〝スイッチ〟が入るんです。オレが他の若い選手たちと一緒に練習していると「レギュラーってもんはな。一人で黙々と練習をするもんなんだ!」とガチで叱られましてね。でも、決して若い選手に手を出したりするような人じゃない。マージャンで怒って牌(パイ)を投げられたぐらいかな。

 ――後輩にとっては怖い先輩だった

 愛甲 そんなことはないですよ。食事にもよく連れていってもらったし「オレは先発の時はいつもこれを食べるんだ」と、大阪でステーキ丼をごちそうしてもらったり…。ただ、マウンドでは誰の声も聞こえない「村田さんモード」に入ってしまうから、触らないほうがいいというのはありました。今回も女性検査員の態度に村田さん的に納得できないことがあって「モード」に入ってしまったのかなあ、と…。

 ――警察の取り調べなどでアドバイスすることはあるか

 愛甲 いやいや、村田さんにアドバイスするなんて、とてもとても…。ただ、モードに入った村田さんは自分が納得するまでは譲らないでしょう。ここは警察の方に「相手側の人の対応にも問題があったようで…」などと言ってもらえれば、村田さんも納得してくれて穏便に済むかもしれません。何しろ「昭和生まれの明治男」と言われた方ですからね。警察の方にはぜひ、そうした対応をお願いしたいです。

 ――愛甲さん自身、警察の取り調べを受けた経験は

 愛甲 そんなの一度もありませんよ! でも職質だったら2回ぐらいあるかな。歌舞伎町を歩いていたら「バッグの中身を見せてください」「バッグを持っている方、全員に職務質問させてもらっています」と言われてね。若い警官とベテランの警官の2人組だったけど、免許証を見せたらベテラン警官がオレのことを知っていたらしくて「分かりました」となった。

 ――それはどちらの意味で?

 愛甲 もちろん「もう大丈夫です」という意味ですよ! とにかく村田さんも70歳過ぎてますからね。どうにか穏便に解決してもらいたいものです。