全日本プロレスの3冠ヘビー級王者・宮原健斗(33)が、団体の歴史に名を刻む。18日の「50周年記念大会」(日本武道館)で王座返り咲きを果たし、団体創業者・故ジャイアント馬場さんの故郷で行われる10月22日の新潟・三条市厚生福祉会館大会で大森隆男(52)とのV2戦が決定。このシチュエーションに気合十分の最高男を駆り立てるのは、馬場さんへの〝ジェラシー〟だ。

 宮原は団体のメモリアル大会で諏訪魔から3冠王座を奪取。その16時間後の19日後楽園大会では野村直矢を退け、早くもV1を果たした。だが、王者に休息の二文字はない。V1直後に挑戦表明を受けた大森と、馬場さんの故郷でのV2戦が決まったからだ。

 宮原は「馬場さんが創設した全日本にとって新潟は大切な場所ですし、なんかロマンチックですよね」と口にし、ナルシストらしく顔を決めながら遠くを見つめた。

 偉大な存在に初めて触れたのは小学校時代だ。当時、九州地区のプロレスの〝聖地〟だった福岡・博多スターレーンで全日本の興行を観戦。209センチ、135キロの馬場さんが所狭しとグッズ売店に座り、サイン会を開いている姿を目にした。

 馬場さんが常々口にした「ファンの方が一番のスポンサー」という言葉を体現するファンサービスをする姿に、宮原少年は感銘を受けたという。「僕もそれを大切にしてきていますし、負けてられないなって思いがあります」。

 目標とする姿である一方、常々悔しい思いも抱いている。「馬場さんは、いまだに日本全国で一番有名なレスラーですよね。僕もそこを目指しているので、憧れはもちろんあります。ですが、どこに行っても『馬場さん』と言われるのは正直、悔しいですね…」と唇をかみ締めた。

 営業で全国各地を回ると、各地で感じるのが「全日本プロレス=ジャイアント馬場」という世間の認識だ。改めて馬場さんの認知度を痛感すると同時に、モチベーションも高まっている。「歴史を大切にしながら、俺が新しい時代を築きたい」と気持ちを新たにした。

 馬場さんの故郷での3冠戦は「全日本プロレスに宮原あり」を示すには絶好の場となる。「今の宮原健斗のプロレス界での立ち位置は、そんな簡単にははぎ取れるもんじゃないですよ」と挑戦者に通告した団体エースが〝宮原時代〟の新たな1ページを開く。