ロシアによるウクライナ侵攻開始から半年余り。9月に入ってウクライナが東部ハルキウ州で大攻勢をかけて奪還し、ロシア軍は「東部ドンバス地方の解放を達成するため、戦力をドンバスに再編成する」としてハルキウ州からの撤退を認めた。

 ロシア本土からドンバス地方への兵たん補給路である要衝イジュームも奪還したことから、世界中のメディアがこの戦争のターニングポイントになる可能性を報じている。

 今回の大規模作戦前、ウクライナはロシアによって制圧されていた南部ヘルソン州への攻勢を宣言。これを受けてハルキウ州に展開するロシアの主力部隊がヘルソンへ移動した隙をついて大攻勢をかけたため、一部ではロシア軍をあざ笑う陽動作戦が成功した結果と見られている。

 軍事評論家の黒井文太郎氏は、メンツを重んじるプーチン大統領について「ブチギレてるでしょうね」と分析しつつ、ハルキウ州を奪還できた要因を「欧米から供与された戦車など装甲車の存在と、米英などによる情報戦での勝利が大きかった」と指摘。ロシア軍の今後については「補給路を断たれたロシア軍が短期的に巻き返すのは難しい。そもそも兵士の数が少なすぎる」と分析した。

 実際、70万人のウクライナ軍に対してロシアは36万人と言われ、火力で勝るもののマンパワーが不足している。しかも、戦闘を放棄して逃走する兵士も少なくないとされるだけに深刻だ。一方でロシアには約200万人の予備役兵がいると言われるだけに、メンツをつぶされたプーチン氏が一気に予備役兵を投入してマンパワーで逆転してくる可能性はないのか?

「プーチンはそれがしたくてもできないんです。予備役兵を動員すれば、ロシア国内を戦時体制にしなければいけない。しかし、国内が侵略されてないのに戦時体制に移行したら国内の不満が高まることになるので、プーチンでも実行することができない」(黒井氏)

 陽動作戦に引っかかり、一杯食わされたプーチン氏の次の一手はいかに――。