巨人が26日のヤクルト戦(神宮)に10―11で敗れ、自力優勝の可能性が消滅した。これで首位とは11ゲーム差。2008年には13ゲーム差を引っくり返した「メークレジェンド」の例もあるが…。ここからの巻き返しは実現できるのだろうか。本紙専属評論家の伊原春樹氏が、ここまで差が開いてしまった両球団の「違い」と、巨人逆転Vの可能性について言及した。
【伊原春樹・新鬼の手帳】いやあ、ヤクルトは強い。この強さはホンモノだと思う。感心させられるのは高津監督の采配だ。特に投手起用なんだけど、投手の使いかたがうまいし、ガマンにガマンを重ねながらも、決して無理はさせない。春先に奥川がコンディション不良となったときには「こりゃあダメかな…」とも思ったが、少ない戦力をうまくやり繰りして、終盤の中継ぎ陣の安定感はずばぬけている。その手腕は「見事」としか言いようがない。
ひるがえって巨人はどうか。今年は若い選手を育てるという方針で、実際に山崎伊、堀田、赤星らを先発で起用。抑えの大勢が頑張ってはいるが、先発陣はうまく育っているとはいいがたい。昨季ローテに定着した高橋は伸び悩み、かつてドラフト1位として大いに期待された桜井、平内、鍬原らも本来なら先発ローテでバリバリ投げてもらわないと。戸郷だってこんなもんじゃないはずだ。顔ぶれを見れば、ヤクルトの2倍や3倍も役者はそろっているはずなのだが…。巨人ではなぜか、若い選手が育たない。
その理由としては「巨人では結果が出なければすぐに使ってもらえなくなる」とか「伝統球団ならではのプレッシャーがある」とか言われているが、それはその通りだと思う。昔ながらの伝統の悪い部分は改善していかなきゃいけないし、同じことをやっていてはいつまでも変わらない。
野手で中山や増田陸が出てきたと言っても、じゃあ、去年の松原はどうなりましたか、という話。結局ここのチームは育てると言ってもいきあたりばったりなんですよ。私が一番がっかりしたのは、去年あれだけ結果(135試合、118安打、打率2割7分4厘、12本塁打、37打点、15盗塁)を残した松原を、オープン戦でちょっと不調だったからといって外してしまったこと。外国人選手を使いたかっただけなんだろうけど、こんなことを繰り返していたら、いつまでたっても巨人で若い選手は出てくるわけがないんですよ。
では、そんな巨人がここから逆転優勝するためにはどうすればいいのか。私は2008年の大逆転優勝のときにヘッドコーチとしてベンチにいたが、あの年はかなり特殊なシーズンだった。ぶっちぎりの首位を走っていた阪神が終盤に大失速したのは、夏場の北京五輪で流れが変わったことが大きかったし…。夏場にヤクルト投手陣が落ちてきたとしても、もともとヤクルトは得点力が高いチーム。さらに打線が勢いづいて走るような気もする。巨人の逆転はまず無理だろう。
(本紙専属評論家)












