悪夢のような離脱から再びはい上がってきた。右肩痛でリハビリ調整中のソフトバンク・田中正義投手(27)が13日、福岡・筑後市のファーム施設でシート打撃に登板。故障離脱した3月20日のオープン戦(広島)以来となる打者相手に30球を投げ、安打性3本、最速146キロという内容だった。

 ファーム首脳陣、フロント関係者が見守る中、牧原巧と育成の仲田を相手に一球一球丁寧に投げ込んだ。「無事投げられてよかったです。肩も問題なかったんで、次、試合に向けて準備できると思います」と安堵の笑みを浮かべた。

 本人の手応え同様に周囲の反応も上々で、確かなステップを踏んだ。「初めてバッターに投げたけど思ったよりもよかった。次のステップに行ってもいいんじゃないかなと思います」。変化球を交えつつ、球数を重ねるごとにグングン球速を上げた。「次がもし試合だったら、あれくらいの球速は出さないとダメなんで。まだまだ上がりますし、上げないといけない」。置かれた立場を理解した上で先を見据えた。今後は患部の反動を確認してになるが、問題なければ週末の三軍戦で実戦復帰する可能性が高い。

 開幕前最後のオープン戦で右肩に違和感を覚えて緊急降板。藤本監督から「将来の先発の軸になる存在」として期待をかけられ、開幕ローテーション入り目前だっただけに精神的ショックは計り知れなかったはずだ。

 暗転した6年目のシーズン。ここまでのリハビリ過程をこう振り返る。「思ったよりもめちゃくちゃ長かったです。もう、あと3か月しかない。時間がない。一日もムダにしないようにやっていきます」。5月中旬からブルペン投球を再開して、焦る気持ちと葛藤しながら地道に調整を続けてきた。

 プロ入り以来、相次ぐ故障に悩まされ、思うように戦場にすら立てていない。世間の辛辣な声を遮断することなく「それ(非難)は当然のこと」と受け止めて前に進んでいる。若手の台頭を望む王会長も覚醒を期待して熱視線を送る最速156キロ右腕。後半戦の戦力になるべく、選手生命をかける覚悟だ。