【赤坂英一 赤ペン!!】広島の先発右腕・遠藤淳志(23)が、3日のDeNA戦で今季4勝目を挙げた。7回3安打無失点で、5月25日以来、実に9試合、101日ぶりの白星。しかもプロ4年目にしてやっとつかんだ通算10勝目でもある。

「チームに大変な迷惑をかけてしまった。ファンの皆さんの声援が僕を後押ししてくれました」

 遠藤がお立ち台でしみじみと語ったコメントを聞いていて、コーチ経験のある広島OBに聞いた話をふと思い出した。

「カープのいいところって、なかなかモノにならない選手を、本当に辛抱強く育てることにあるんです。他球団なら見捨てられるような選手でも、指導者や先輩が、ほら、どうした、まだやれるだろう、とみんなして何とか一人前にしてやろうとする。こんなチーム、他にないと思いますよ」 

 確かに、例えば野手では13年目の堂林、8年目の野間、4年目の小園ら“準レギュラー”として使われ続けている選手が広島には多い。投手では遠藤もその一人だ。

 今季は6月1日から8試合連続で先発しながら0勝3敗。その5試合目、8月7日の阪神戦は5回もたず5失点KO(負けはつかず)。続く6試合目の巨人戦も4回4失点降板で6敗目だ。前出のOBが指摘するように、他チームならここで「見捨てられる」だろう。

 それでも辛抱強く遠藤を先発で使い続けた佐々岡監督は、当初から遠藤の潜在能力を非常に高く評価していた。就任1年目のキャンプでは、2017年のドラフト同期生で同い年の山口翔と先発入りを競わせている。

 遠藤はこの年、ソフトバンク・千賀をまねた2段モーションに挑戦していたが、実戦練習で野間らに一発を浴び、「静止する時間が長過ぎる」と佐々岡監督が指摘。結局、遠藤は先発19試合で5勝6敗にとどまった。佐々岡監督はそれからさらに2年間、我慢に我慢を重ねてきたのである。

 その遠藤が今季4勝目をマークしたDeNA戦で9回を締めたケムナ誠(27)も、17年ドラフト同期生の一人だ。3歳で出生地ハワイから日本に移住。日南高校時代はよくカープのキャンプを見に行き、選手や関係者が通うラーメン店でアルバイトまでしていた、という逸話は広島ファンにはよく知られている。

 そのケムナが一軍キャンプに初めて抜てきされたのも、佐々岡監督就任1年目。以後、中継ぎとして徐々に一軍に定着しつつある。同期生の遠藤ともども、もう一皮むけるように期待したい。

 ☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。日本文藝家協会会員。最近、Yahoo!ニュース公式コメンテーターに就任。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」(講談社)など著作が電子書籍で発売中。「失われた甲子園」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。他に「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。