現地時間13日(日本時間14日)のメッツ本拠地(シティーフィールド)で予定されていたニューヨーク日本国総領事館・森美樹夫大使の試合前始球式が行われなかったことが、日米で物議を醸している。

 当日の先発予定だった右腕シャーザーが登板前の投球練習に集中。この影響で森大使がマウンドに上がれず、始球式が幻に終わってしまった。

 この日のメッツ戦は日本に野球が伝わってから150年を祝う「ジャパニーズ・ヘリテージ・ナイト」と銘打たれ、日米交流イベントを開催。大勢の現地邦人も球場に駆けつけていた。その最中で大使の晴れ舞台が軽視された格好になったため、一部日本人ファンや関係者が「日本に対する侮辱だ」「外交問題に発展する」などと不快感を抱いているのだろう。

 だがこの一件、日本側が怒りをあらわにする必要があるのだろうか。

 球団やシャーザーが意図的に大使の始球式を妨害したのであれば問題だろうが、現時点ではその意図はなかったと言われる。しかも、米メジャーでは日本人選手が在籍する球団を中心にこうした日本、日本人向けイベントは定期的に開催されている。その大半は日本に好意的でイベント当日には球場全体が日本色に彩られることも珍しくない。現地で駐在経験のあるメジャー記者も自身の過去の経験を交え実情をこう話す。

「何度も日本に関するイベントが行われた試合を取材した経験がありますが、一度も日本人として反日感情を抱かれたり、不快な思いをしたことはない。それどころか、球団関係者や選手らが積極的に試合前に行われる和太鼓演奏だったり、着物などの日本文化に興味を持ってくれたこともありましたから。そんな経緯を考えると、今回の件は大使に近い関係者の過剰な反応なのではないでしょうか」

 現在、メジャーは二刀流を続ける大谷(エンゼルス)を筆頭に、ダルビッシュや鈴木誠也ら多くの日本人選手が活躍する。そんな日本人が躍動する姿に、一部現地ファンからやっかみの声があるのは無理もないが…。選手や球団の意図的な差別や侮辱がないのであれば、大騒ぎする話ではなさそうだ。