阪神にうれしい〝異変〟が起きている。13日の西武戦(甲子園)を終え、阪神がチーム全体でマークしたオープン戦本塁打数は12球団トップ(試合終了時点)の11本塁打。この日の試合でも近本とマルテにソロが飛び出し、負け戦ながら見せ場をつくった。

 国内屈指の「ホームランが出にくい球場」甲子園をホームとする阪神は、伝統的に長距離打者不足に悩む宿命を背負ってきた。それだけに次々と一発が飛び出す状況は〝春の珍事〟と思われかねない事態だ。

 だが、この異変には理由がある。井上一樹ヘッドコーチが入閣以来推し進めてきた〝マン振り改革〟だ。打撃コーチ職在任時の昨季から「『ドーンとホームラン狙ってこい』的なシステムと心構えをつくってきたからね。デカいの狙ってませんから…、的な考え方はなくせと言ってきた。そういうのが奏功してきた。今年も引き続きやっていきたい」と手応えを口にする。

 ドラフト1位ルーキーの佐藤輝明内野手(22=近大)をはじめ「チームにも一発の魅力があるメンバーが揃ってきた。チカ(近本)だってシーズン通せば10本近く打てる打者。体格的にホームランバッターじゃないけれど『イケると思ったらマン振りしたれ』とは今年も言い続けたい」と井上ヘッドは笑顔で語る。

 独創的なアイデアと〝マン振り哲学〟をナインに注入し、厳しくも底抜けに明るい「カズキさん」。選手たちに自信という名の種を植え付け、収穫の秋を待つ。