勝負強さの秘密とは――。北京五輪カーリング女子準決勝(18日、国家水泳センター)で日本代表ロコ・ソラーレ(LS)は、スイスに8―6で勝利。前日17日の1次リーグ最終戦で敗れた難敵にリベンジを果たし、日本カーリング史上初の決勝進出を決めた。一時は予選敗退の危機を迎えながらも、銀メダル以上を確定させたカー娘たち。その原動力は普段の和気あいあいとした姿からは想像もつかない「負けん気」にあった。
日替わりでヒロインが生まれるのが、今のLSだ。17日のスイス戦ではショットに苦しんだスキップ・藤沢五月(30)が、第5エンド(E)にダブルテークアウトを決めて4点を奪取。7―5で迎えた第9Eは逆転のピンチを迎えたものの、藤沢が2度ダブルテークアウトを成功させ、1点に食い止めた。ミスをしても誰かが助ける。全員でつかみ取った1勝に、藤沢は「やりたい試合ができたかな」と笑みを浮かべた。
1次リーグは4位通過。他力でつかんだ準決勝の切符だった。ただ、この粘り強さがLSの持ち味。昨年9月の代表決定戦で死闘を繰り広げた北海道銀行のスキップ・吉村紗也香(現フォルティウス)も「調子が悪かったとしても、どの大会でも何とかプレーオフまでつなげる力があるなと感じていた。後がない中でも勝ち切っていく力がすごいある」と話している。
それにしても、この〝火事場の馬鹿力〟はどこから生まれてくるのか。LSのメンバーを幼少期から知る関係者は「子供のころから負けず嫌いというのがすごく出ていた」と証言する。普段は仲むつまじい姿を見せる一方で、試合になると「勝負師」の顔に様変わりするのだ。
その姿勢は誰が相手であっても変わらない。一昨年12月に開催された「ワールドカーリングツアージャパン 日本TOPチーム強化試合 in 軽井沢」での出来事だ。国内の男女のトップチームが集結する大会に出場したLSは、女子の部で優勝。ところが、最大の目標は別にあった。最終日のエキシビションマッチで男子の全日本王者・コンサドーレを倒すことを本気で目指していたというのだ。
エキシビションマッチは、E全体での合計点ではなく、各Eごとに割り当てられたポイントの合計点で勝敗を争う「スキンズゲーム」で行われた。平昌五輪男子代表の山口剛史(SC軽井沢クラブ)によると「男子に勝つために、2か月前ぐらいから『スキンズゲーム』のルールに対応するように練習を始めてました」という。
山口が所属するSC軽井沢クラブと「スキンズゲーム」で練習試合をした際は「ずっと僕たちともディスカッションしますし、チーム内でも何回もディスカッションをしていました」と振り返る。どんな場面でも勝ちにいく姿には「ここまでこだわるのかと。やっぱり、そういうところでは負けず嫌いなんだろうなと思った」と思わず舌を巻いたほどだ。そして、本番ではコンサドーレに快勝。男子相手にも全くひるむことはなかった。
どこまでも貪欲に勝ちを求める姿勢が引き寄せた決勝の舞台。藤沢は「やることは変わらず、自分たちの試合をチーム全員で戦い切るだけかなと思う。決勝まで時間があるので、また作戦会議したい」。最終決戦も白星で締めくくる。
【泣いたおかげで力が抜けた】涙を力に変えた。17日のスイス戦後は泣き崩れた藤沢だったが、この日は「昨日散々泣いたおかげで疲れて、いい意味で力が抜けて、気持ち的にも楽に試合に臨めた」と要所で神ショットを披露。チームを勝利に導く活躍ぶりに「勝っても涙が出てこない。昨日泣き尽くしたので」と苦笑いを浮かべながらも「悔しい思いをした分、チャンスをもらえて勝つことができてうれしい」と声を弾ませた。
決勝(20日)の相手は、平昌五輪の3位決定戦で激闘を演じた英国だ。「4年前にお互いメダルをかけて強い思いで戦ったチームと、ゴールドメダルを懸けて戦えるのがうれしい」と喜びを口にした上で「お互いあの平昌の時の思いは強くあった中で、またこうやって4年必死に頑張ってこの舞台に来たので、絶対にいい試合にしたい」と再戦を心待ちにした。












