セ3位からV奪還を目指す巨人が、チーム強化策の一環として、インテリジェンス部門にメスを入れた。今年1月、巨人の球団組織が改編され「チーム戦略室」が5年ぶりに復活。その目的は対戦相手のデータ分析は当然のことながら、動作解析を元に選手のケガ予防を目指すという。


 巨人は今年1月に組織改編を行い、昨年までの「スコアラー室」を廃止。室長を含めて13人のメンバーで構成される「チーム戦略室」としてリニューアルした。

 巨人の「戦略室」と言えば、2011年に当時の清武英利GMの肝いりで、橋上秀樹氏(現新潟アルビレックスBC監督)が戦略コーチとして招かれ新設された。その後は「運営部戦略室」として17年まで継続。18年に「データ分析室」が作られた際「戦略室」の名称が組織図から消えた。

 今回、復活した「チーム戦略室」も大きな目的を持っている。スコアラーは昨年の8人から10人に拡大された。球団関係者は「スコアラーをこれまで通り、対戦相手の戦力を分析する班と、動画解析やデータ分析をする班に分けた。専門家として採用したデータ分析班はファームに常駐させる」と説明する。

 その狙いは何なのか。

「自軍の選手のデータを分析してもらう。トラックマンのデータによって、選手の疲労度などが正確に分かる。『これ以上、無理をさせたらケガをする』という兆候を現場と共有することで、ケガを未然に防ぐことができる」(前出の関係者)

 東京ドームやジャイアンツ球場に設置済みの弾道測定器「トラックマン」や移動式測定器「ラプソード」を使えば、投手なら球速、回転数、回転軸など70種類もの詳細なデータが数値化される。これまで蓄積されたデータを分析すれば、ケガの兆候を見つけることが可能だという。

 実際、昨年はエース菅野がケガにより4度の登録抹消を経験。V逸の要因のひとつとなった。ファームでも20年ドラフト4位・伊藤優が右ヒジのトミー・ジョン手術、19年ドラフト4位・井上が左ヒジ頭骨折で手術と期待株が次々とケガに見舞われた。

 今季は桑田投手チーフコーチの期待する19年ドラフト1位・堀田、20年ドラフト2位・山崎伊の2人が右ヒジのトミー・ジョン手術から復帰。ケガの再発は何としても避けなければならない。

「指導者というのはやらせることも大事なんですが、もっと難しいのは止めること。いつも頭の中で止めることを意識して一生懸命やろうと思ってます」と、桑田コーチはケガ防止に最大の注意を払っている。

 早大、東大の大学院で動作解析を行ってきた桑田コーチにとっては、専門分野でもある。「チーム戦略室」は投手陣再建を目指す同コーチの大きな助けとなりそうだ。