冬に熱く燃えろ――。2月4日の北京五輪開幕まであと10日となった。日の丸を背負う選手たちの活躍を誰よりも強く願っているのが、1998年長野五輪スキージャンプ男子団体金メダリストで日本代表選手団の原田雅彦総監督(53)だ。本紙インタビューに応じた冬季競技の“ビッグボス”は今大会の注目種目や、自身が現役時代にバッシングを受けた経験からSNSによる中傷問題について激白。さらに“あの名言”の復活も予告した。
――五輪を前に、率直な心境は
原田総監督(以下、原田)東京(五輪)が大いに盛り上がったんですけど、我々は4年前から着々と準備を進めてきて「さあ、いよいよ」という気持ち。
――ジャンプは小林陵侑(土屋ホーム)、高梨沙羅(クラレ)の男女エースらがメダル候補だ
原田(海外勢と比べて)非常にいい位置にいるんじゃないかと。平昌(五輪)から4年、小林陵侑や佐藤幸椰(雪印メグミルク)がW杯優勝を飾ったり、北京に向けてチーム全体が底上げされている状況と言えますね。女子もそう。高梨選手は非常に心強いなと思いますね。
――今回は新種目として混合団体が採用された
原田 これは非常に楽しみ。金メダルを取れるんじゃないかと思っています。
――「混合」といえば、東京五輪で卓球の混合ダブルスが金メダルを獲得した
原田 そうなんですよ。それで日本は新種目に強いなと思いました。混合は初めてだったし、スケートボードでもストリート、パークでメダルラッシュだった。日本を引っ張る存在? やっぱり小林(陵)選手ですかね。彼の実力、テクニックは世界のジャンパー、指導者が注目していますから。
――五輪経験者として選手の緊張やプレッシャーは理解できると思う。大舞台にはどのような心構えで臨むべきか
原田(五輪を)意識するなと言っても意識すると思うので、私はもう意識するべきだと思います。そういう気持ちにどれだけなれるか。その高ぶりをパフォーマンスにつなげて北京の舞台で大暴れしてほしいですよね。
――SNSなどで選手を誹謗中傷する行為が問題になっている。1994年リレハンメル五輪後にバッシングを浴びた(別項参照)立場として、どう受け止めているか
原田 当時、SNSがあったら大変でしたよね。私もそう思います。確かに、誹謗や中傷があったという情報もありますし、つらかった。でも、他の選手もつらかったと思うんです。だから、私はリレハンメル五輪での失敗を乗り越えてこそ、強くなれると考えて頑張ってきた。とにかくスキーで元気な姿を見せるためにね。
――個人的には気にしていないということか
原田 私は全然気にならず、むしろ楽しむタイプ。
――今はSNSやネット上の反応に敏感な選手も少なくない
原田 SNS、難しいですよね。人それぞれいろんな考え方がありますから。でも、若い選手にはネガティブに響いてパフォーマンスに影響することもありますし、(誹謗中傷は)やめていただきたいですね。選手は「そんなことない」と言うんですけど、あるんですよ。
――原田さんが団体金メダルを獲得した98年長野五輪は、最終ジャンパーの船木和喜選手について「ふなきぃ…」と言葉にしたシーンが印象的だ
原田 いまだにやるとウケるんですよ、古い人には。若い人には「何言ってるんだ、この人は」と見られるのが最近の傾向ですね(笑い)。
――北京五輪の会場でも大一番で選手名を口にする場面があれば、カメラに抜かれるのでは
原田 そうですね。やっぱり、努力を重ねてきている選手のことを思うとね…。どうしても涙腺が緩くなるので泣かないようにします。
――そこはぜひ“名言”をお願いします
原田 分かりました(笑い)。
【リレハンメルの悲劇】1994年リレハンメル五輪団体は西方仁也、岡部孝信、葛西紀明、原田で臨んだ。日本はトップに立ち、最終ジャンプを残した時点で2位のドイツに55点のリード。声援を送る国民はもちろんのこと、選手自身も金メダルへの期待が確信に変わろうとしていた中で“悲劇”は起きた。
ドイツのイェンス・バイスフロクが135・5メートルの大ジャンプで追い上げると、原田が97・5メートルとまさかの失敗ジャンプ。その結果、ドイツに逆転を許して日本は銀メダルに終わった。
優勝には105メートル以上が必要とされていたが、本来の実力を考えればクリア可能な飛距離だっただけに、原田は“戦犯”扱いとなった。バッシングは大会後も収まらず、自宅などへの嫌がらせが1年以上も続いたという。
☆はらだ・まさひこ 1968年5月9日生まれ。北海道上川町出身。東海大四高(現東海大札幌)卒業後、87年に雪印乳業に入社。94年リレハンメル五輪団体銀メダル、98年長野五輪個人ラージヒル銅、団体金メダル。五輪、世界選手権で日本選手最多となる計9個のメダルを獲得した。引退後は雪印メグミルクスキー部のコーチに就任。現在は同総監督、全日本スキー連盟理事、日本オリンピック委員会理












