ついに壁を越えてきた。2018年世界選手権銀メダルの樋口新葉(20=明大)が北京五輪代表最終選考会を兼ねる全日本選手権(25日、さいたまスーパーアリーナ)の女子フリーで147・12点をマーク。合計221・78点で2位に入り、大舞台への切符が現実味を帯びてきた。

「五輪に挑戦するのは今回で最後」。樋口は特別な思いを持ってリンクに立っていた。かねて「天才型」と言われてきたが、前回の平昌五輪はまさかの代表落ち。「4年前は勝つことだけを考えて、すごく狭い気持ちの中でスケートに向かっていた」と振り返る。

 当時から潜在能力はピカイチ。その一方で、代表入りを期待された平昌五輪の選考レースで精神面の弱さが浮き彫りとなっていた。実際に、フィギュア関係者からは「ムラがあるのが課題。なかなかショートプログラム(SP)とフリーをそろえられない」と厳しい声も出ていたという。

 しかし、今大会はSPで2位スタート。この日のフリーでも「本当に強い気持ちを持って頑張りたいというふうに思っていた。どういうふうに過ごして集中力を高めていくかというのを考えながらこの試合に向き合ってきた」。冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は着氷が乱れながらも、その後は安定した演技を披露し「4年前と比べものにならないくらい力を発揮できたし、精神的に成長できたと感じられる大会になった」と周囲の不安を一層してみせた。

 北京五輪の代表は26日に決定する。「自分のやりたいことを出し切りたい。(五輪に)行けるかどうか決まっていないけど、自分が持っているものを最大限生かした試合にしたい」。4年前と異なり、その表情は自信に満ちあふれていた。