【楊枝秀基のワッショイ!スポーツ見聞録】投げる冒険家はブレない。

 ロッテ、阪神、DeNAでNPB通算97勝を挙げた久保康友投手(41)が、2年のブランクを越え、来季も現役投手として世界探訪する意思を示した。

 今月2日に兵庫・三田市内で「さわかみ関西独立リーグ・兵庫(11月まで神戸三田)ブレイバーズ」への入団会見を実施。ブルペンでの投球も披露した。

 基本路線は兵庫に在籍しながら調整を続け、海外移籍への準備を整える考えだ。

 2017年にDeNAを退団して以来、米独立リーグ、メキシカンリーグでプレーしてきた久保。20、21年も海外でのプレーを計画していたがコロナ禍で頓挫した。家族との時間を過ごせたメリットもあったのだが、心の葛藤は消えなかった。

「今を好きに生きる。自分がやりたいと思ったことを全力でやる。そこだけは変わってないですよ」

 久保は投げることにこだわっているわけではない。野球という特殊技能を駆使し海外リーグでプレーした上で「少しずつレベルを落としていって、実力の合う国のリーグでプレーしたい。その国、あるいは近隣国の遺跡などを見て回りたい」と人や文化に触れる旅をメインの目的としている。

 年齢的なこともあり、コロナ禍でのタイムロスを憂慮していた。体力キープには努めてはいたが、2シーズン実戦なしは未体験ゾーン。練習環境の整備を真剣に模索し、自ら兵庫と連絡をとった。

 レベルが違えど、プロリーグでプレーするためには久保とて準備が必要。その思いに駆られ調査、分析を行い兵庫に逆オファーした。球団関係者としっかり対話を重ね、無給に納得して入団を決めた。

 久保は練習し放題の環境を獲得。兵庫は戦力補強に加え、生きた教材と広告塔を得ることになった。「若い選手が気兼ねなく質問してくれるので、率直に答えていますよ」と、久保は不思議なWin―Winの関係を楽しんでいる。

「今、アフリカの方でも野球に力を入れている国があると聞いています。世界のいろんなところをぶらぶらすると、いろんな情報も入る。将来、アフリカ担当スカウトもあるかも(笑い)」

 現在、オミクロン株の出現で予断を許さない状況だが、久保の冒険家魂は衰えを知らない。来季はどの国の野球、遺跡を制覇するのか。来年42歳を迎える右腕に注目だ。

☆ようじ・ひでき 1973年生まれ。神戸市出身。関西学院大卒。98年から「デイリースポーツ」で巨人、ヤクルト、西武、近鉄、阪神、オリックスと番記者を歴任。2013年からフリー。著書は「阪神タイガースのすべらない話」(フォレスト出版)。21年4月にユーチューブ「楊枝秀基のYO―チャンネル!」を開設。