【取材の裏側 現場ノート】遊軍記者という立ち位置もあり、ゴールデンウイーク(GW)中に行われた9連戦ではヤクルト、DeNA、中日、阪神と多くの球団の試合を取材した。中継ぎ投手の「3連投回避」が完全に定着した時代背景がある中、どのチームも似たようなジレンマに直面していた。ひと言で表現するなら「ブルペンを守るためにゲームを捨てる」。そんな本末転倒な風景をこの9日間で何度も目にした。

 4月30日のヤクルト―阪神戦(神宮)では、ヤクルト先発の高梨が3回終了時点で8安打4失点の大乱調。本来なら早々にロングリリーバーを投入して立て直しに入りたいところだったが、ベンチは右腕を7回途中まで続投させた。計13安打8失点とサンドバッグにされたことで、2―10で決着したスコアだけでなく、ゲームの質も高梨の成績も破壊された。

 ブルペンに9人もの中継ぎ投手を待機させていたヤクルトですら、前日までの稼働状況や残り6試合も続く連戦を考慮すれば、切れる手札はほとんど残されていなかった。翌5月1日のヤクルト―DeNA戦(神宮)も似たり寄ったりの展開で16―5のワンサイドゲームに。敗れた相川監督は最終9回に柴田の野手登板を決断した。事実上の白旗となる苦肉の策だったが、目の前の現実を考えれば仕方がない選択だった。

 球場で目撃したのは「勝負のアヤ」や「展開の妙」といった野球本来の駆け引きではない。単なる制度上の限界が露呈しただけだ。「一軍登録枠31人」「ベンチ入り26人」という現行ルールでは、興行上の理由でGWやお盆に設定されている9連戦で質の高い野球を維持することは難しい。

「あと1人でもブルペンに投手を置ければ…」という悲鳴にも似た投手コーチたちの愚痴は、現場で過去に何度も耳にした。リリーバー保護を念頭に置いた運用のため、各球団の首脳陣は常に知恵を絞っている。だが、これ以上ベンチ入り野手を削れば試合後半の代打や代走策が著しく制限され、やはり試合そのもののクオリティーは低下する。ならば解決策は一つしかない。

 まずは「7試合以上続くイレギュラーな大型連戦の時期に限り、特例として一軍登録枠を『プラス1人』設定する」といった小さな一歩から始めてもいい。主目的はリリーバーの負担軽減と試合の質の両立なのだから「ただし、該当期間には中継ぎ投手を最低〇人以上ブルペンに配置すること」といった付帯条項も有効だろう。

 いずれにせよ、優れた中継ぎ投手たちが酷使によって選手生命を早く終える姿は、これ以上誰も見たくない。令和の球界に前時代的な生贄など不要だ。

(遊軍担当・雨宮弘昌)