【緩和ケア医・大津秀一 長生きのレシピ】がんについての第4弾は、がん検診について取り上げます。

 がんを早期発見するには何が大事か。それはがん検診です。自治体の健診などでも高血圧、糖尿病などの生活習慣病は分かりますが、健診ではほぼがんは分かりません。特にがん罹患率が高まるとされる50代以降は意識的にがん検診は受けるようにしましょう。ガイドラインでは以下のようになっています。

 ・胃=50歳以上においては胃の内視鏡検査を勧める

 ・大腸=40歳以上においては便潜血検査を勧める

 ・肺=40歳以上においては胸部X線検査。喫煙歴など高危険群にあたる者は胸部X線検査に加え、喀痰(かくたん)細胞診併用法

 会社の健診でも組み込まれているものもあるかとは思いますが、自身の年代のリスクに照らし合わせ、どの検査が必要かはチェックしておいたほうがいいでしょう。ちなみに肺がん検診においては、低線量CT(放射線検査)で肺がん死亡リスクは51%減少という研究結果(参照=Jpn J Clin Oncol,2019)もあります。生命に関係しない腫瘍まで検出している可能性は否定できませんが、参考にできるかと思います。

 長寿化が進んでおり、今後も寿命は延びていくと考えると、無用な被ばくを避けるのも重要になります。被ばくがなく、肝臓、胆のう、膵臓の一部、腎臓などをチェックできる超音波検査も有効な検診法に挙がります。

 また、がんについて理解しておいていただきたいのは「経過観察していると消失したり縮小するがんもある」「経過観察していると進行するが、その進行が遅いがためにそのがんでは死なない」場合もあります。例えば前立腺がんや甲状腺がんなどは、命にあまり影響しない場合も多く含まれます。

 がん検診について、一部の腫瘍の早期発見につながるのは間違いありません。一方で年代や体のどの部位にできたかなども含め「この腫瘍ならば、どのように対応すべきか」を個々に判断することもこれまで以上に大事になってくるかと思います。今後、医療がさらに進歩したら「この腫瘍は今すぐ治療したほうがよい」とか、「これは経過観察でよい」などと判断がつくようになるかもしれませんが、現時点では難しいため、まずは有効性が確認されている種類の検診での早期発見、正確な情報取得を心がけましょう。

 ☆おおつ・しゅういち 茨城県出身。岐阜大学医学部卒業。内科専門研修後、ホスピス、在宅、ホームなど様々な医療機関で終末期医療を実践。東邦大学病院緩和ケアセンター長を経て、オンライン診療も行う早期緩和ケア大津秀一クリニックを設立。多くの終末期患者と向き合ったことで、予防医学にも力を入れる。著書に「1分でも長生きする健康術」(光文社)、「誰よりも早く準備する健康長生き法」(サンマーク出版)など多数。