ドジャースの大谷翔平投手(30)が5月に入り、7・44打席で1本塁打と量産態勢だ。18日(日本時間19日)時点で9本塁打、20打点はメジャートップ。明らかに絶好調なのだが、打球方向を示すスプレーチャートによれば、広角に打っている前年までと異なり、右方向への打球が圧倒的に多い。ホームラン打者として覚醒し、46本塁打を放った2021年以降、「逆方向への本塁打が増えると好調」といわれてきただけにどう判断すべきか。ドジャース番記者の見解は――。

24年の「baseball savant」のヒットスプレーチャート(MLB公式サイト、baseball savantから)
24年の「baseball savant」のヒットスプレーチャート(MLB公式サイト、baseball savantから)
今季の「baseball savant」のヒットスプレーチャート(MLB公式サイト、baseball savantから)
今季の「baseball savant」のヒットスプレーチャート(MLB公式サイト、baseball savantから)

 大谷は15日(同16日)のアスレチックス戦で3回に左翼席に14号3ラン、4回に中堅バックスクリーンへ15号2ラン、16日(同17日)のエンゼルス戦では8回に中堅バックスクリーンに16号ソロと中堅から左方向へ3本続けて運んでいる。アーチを量産するようになった21年以降では見慣れた光景だ。

 絶好調に見えるのだが、MLB公式サイトの「baseball savant」に掲載されている打球方向を表すスプレーチャートは異変を示している。57安打中、39本が右方向で、本塁打も9本が引っ張ったものだ。明らかにここ4年間とは異なった傾向を示している。この現状をどう見るか番記者に聞いた。

 オレンジカウンティー・レジスター紙のビル・プランケット記者は「まだシーズンの4分の1」と前置きするとこう語った。

「ショウヘイに関しては『内角に速球、外に緩い変化球を投げれば、彼はそれに手を出す』っていうのが昔からの常とう句なんだけど、もしかしたら彼は今、その内角球をうまくさばけるようになってきているのかもしれない。あるいは、相手チームの内角攻めがうまくいってないってだけかもしれない」

 さらに「ドジャー・スタジアムという球場に適応してスイングを変えてる可能性もある。ここで1年以上プレーしたことで適応して、打ち方を変えてるのかもしれない」と語った。

 MLB公式サイトのソーニャ・チェン記者は「根拠のない仮説」と断ると、昨年手術した左肩が影響している可能性もあるとした。

「もし彼が引っ張る打球が多くなっているとしたら、それが肩の影響だと決めつけるのは避けたいけれど、でも、可能性としてはあるかもしれない。あくまでも医学的な知識は全くないので、根拠はないが、肩への負担を減らすために、リードアーム(前側の腕)を少し多めに使っているのかもしれない、という可能性はゼロではないのではないか」

 地元紙ロサンゼルス・タイムズのジャック・ハリス記者は「シーズン序盤、彼のスイングが思うようにいってなかったっていうのが一因だと思う」と分析。

「スイングがうまくいってる時の彼は、よく逆方向にも打球を飛ばすようになる。でも一方で、引っ張る打球でも依然としてすごく結果を出してる。だから面白い。まだサンプルとしては少ないんだけどね。個人的には、シーズンの序盤は彼なりにいろいろ調整してたんだと思うし、最近になって少しずつフィールド全体を使うようになってきたように見えるかな」

 米スポーツサイト、アスレチックのファビアン・アルダーヤ記者は「真ん中に飛んでいる時は、調子がいいサインであることが多いけど、恐らくそこまで気にする点ではない。単純にそちらへ飛んでいたというだけ。実際に今のスイングは心地良さそう」と指摘した。

 今季はバットを1インチ(約2・5センチ)長くしており、打撃を変えたのではなく試している段階かもしれない。

 プランケット記者は「ショウヘイがやることは全部意識的なものだと思うよ。彼はすごく意識が高いから、スプレーチャートのことも絶対に認識しているはず。全部ちゃんと理解してると思う」とまとめた。得意の6月に超進化した大谷を見ることができそうだ。