甲子園の申し子が〝聖地パワー〟でよみがえるか――。楽天・田中将大投手(35)が6日に阪神とのオープン戦(甲子園)で今季2度目の実戦登板に臨み、26球を投げ2回2安打1失点。日米通算200勝まで残り3勝に迫る右腕の調整は順調のようだ。2021年に球界最高年俸となる9億円で古巣・楽天に復帰したが、ここ3年間は4勝9敗→9勝12敗→7勝11敗と勝ち越したシーズンはなし。そんな中、ゆかりのある聖地で登板した〝生きる伝説〟が今季こそ意地を見せそうだ。

 甲子園と田中将の縁は深い。聖地での登板は22年5月24日の阪神戦以来、実に652日ぶり。この日はオープン戦とあって1万4458人(主催者発表)の観衆だったが、「先発 田中」のアナウンスにスタンドは沸いた。

 若手時代以来、15年ぶりに解禁した大きく振りかぶるフォームを披露。直球の最速こそ141キロにとどまったが、威風堂々としたマウンドさばきが田中将らしい。スライダー系の球を中心に初回は三者凡退。2回は先頭への四球から渡辺諒の左犠飛で失点したものの、まとまった投球内容で昨年10月に行った右ヒジの手術の影響も〝問題なし〟をアピールした。

 登板後は「前回に比べたら自分の中でピッチングに近づいてきた。打者と勝負している形に少しずつ上がってきているのは実感できている。順調にはきている」と手応えを口にした。

 甲子園から近い兵庫県伊丹市出身の田中将。地元でもあり駒大苫小牧(南北海道)の2年時は夏の大会連覇を成し遂げ、3年時は決勝戦延長再試合の末に斎藤佑樹率いる早実(西東京)に敗れた思い出の地でもある。

 この時期になると多くの人々が思い出すことがある。チームも田中将にとっても忘れられないのは2011年3月11日だ。午後2時46分、東日本大震災が発生した時に楽天は兵庫・明石公園第一野球場(現明石トーカロ球場)でロッテとオープン戦を行っていた。当時、ナインは震災の影響で4月7日まで本拠地の仙台に戻れないという事態に陥っていた。

 同年の開幕戦は2週間遅れの4月12日。ホーム開幕となった同15日のオリックス戦はKスタ宮城(現楽天生命パーク宮城)の復旧工事が間に合わず甲子園で行われた。そして、この試合に先発したのが田中将だった。

 難しい調整を強いられながらも2失点で完投勝利。勝利の瞬間はマウンドで雄たけびを上げた。試合後のお立ち台では「東北の皆さん、やりました」と声を張り上げた。当時、チームを率いていた星野仙一監督は03年の阪神優勝監督。場所提供、チケット販売に全面協力してくれた古巣に感謝し「関西は優しいなあ。ありがとう」という言葉を残した。

 そんな思い出が詰まった甲子園で、田中将は再起へ向けて2度目の登板。クリーニング手術を受けて以来、地道にリハビリとトレーニングを続けてきた。聖地のマウンドを足がかりにギアを上げていきたいところだろう。

 メジャーから日本球界に復帰した21年から3シーズンで20勝32敗。年俸も9億円から今季は2億6000万円まで下落した。それでも日米通算197勝まで数字を積み上げてきた。

 聖地に宿る野球の神様はマー君にパワーを授けるのか…。それは開幕後、自らの右腕で表現するはずだ。

(※金額は推定)