【オーストラリア・メルボルン発】テニスの4大大会初戦、全豪オープンに出場中の女子世界ランキング4位・大坂なおみ(22=日清食品)が快進撃を続けている。シングルス1、2回戦では出色の試合内容でストレート勝ち。連覇へ向けてフィジカルは万全だが、やはり懸念材料は精神面だ。2回戦(22日)ではラケットを投げつけて激怒するなど相変わらずメンタルは不安定。そんな繊細な一面を物語る“ある行動”もクローズアップされた。

 まるで1ゲームに1年分の喜怒哀楽が詰まっているようだった。世界42位・鄭賽賽(25=中国)との2回戦は6―2、6―4で快勝。第1セットはポイントを取られても笑みを浮かべる余裕を見せたが、第2セットではラケットをコートに叩きつけ、さらに蹴り飛ばすなど怒りを爆発させた。

 その後、ベンチでタオルを頭からすっぽりかぶるお決まりのポーズ。そこから立て直して勝利すると、コート上のインタビューで観客に向かって「(会場の)9列目にマーカスという方がいます。いつもツイッターを見ていますよ!」と、まさかの“観客イジリ”で会場を沸かせた。

 実は、ここに大坂の繊細さが隠されている。スポンサー企業の関係者は「彼女と接した人なら誰でも分かると思うが、とてもこまやかで傷つきやすい」と明かすように、SNSでの自分の評判を非常に気にするタイプ。いわゆる「エゴサーチ」の類いだ。前述のマーカス氏は熱狂的ファンの一般人だが、大坂は試合前に9列目にいることまでチェック済み。さらに試合が終わって1時間もたたないうちに同氏の投稿を引用して「来てくれてありがとう」と発信している。

 今大会前にはツイッター上で「Boooooo」とブーイングを浴びせたファンに「アナタはちょっとだけ怒っているの? それともすごく怒っているの、ディアンヌ?」と返答。昨年秋には日本のお笑いコンビから「あの人、日焼けしすぎやろ」と差別的な発言をされた際にも、ツイッター上で「資生堂アネッサの完璧な日焼け止めを使っているから、私は日焼けなんてしないのよ」と絶妙に切り返し、一部で「神対応」と絶賛された。

 とはいえ、見方を変えれば“SNS依存症”と取れなくもない。昨年は2度のコーチ契約解消をツイッターで公表している。大坂は「私がなぜ投稿するか? 習慣のようなものね」と語っていたが、過度のエゴサーチは精神的不安を引き起こす材料になりかねない。

 アスリートには2種類のタイプが存在する。自分の評判を気にしすぎて重圧に負けるタイプもいれば、逆にフィギュアスケートの紀平梨花(17=関大KFSC)は「無駄にショック受けている時間がもったいない」とテレビも新聞も見ず、自身の報道には無関心だ。

 大坂の“ネットパトロール”は今のところ笑いで済んでいるが…果たしてどうなるのか。全豪連覇、今夏の東京五輪金メダルに向けて気になる材料ではある。