卓球の世界選手権(23日開幕、米ヒューストン)が近づく中、中国では「あの世界チャンピオンは二度と見ることができないのでは…」と話題になっている。

 その「チャンピオン」とは、混合ダブルスの日本ペア。しかし、東京五輪で金メダルを獲得した水谷隼(木下グループ)、伊藤美誠(スターツ)組ではない。今回スポットが当たったのは、2017年世界選手権で日本勢として48年ぶりに頂点に立った吉村真晴、石川佳純(全農)組のことだ。

 東京五輪代表に選出されなかった吉村は世界選手権出場を目指していたが、コロナに感染して代表選考合宿の参加を辞退。先月31日にはバラエティー番組の収録中に肋骨(ろっこつ)を骨折し、全治約8週間とみられ、競技生活への影響は避けられない状況になっている。

 そんな中、中国メディア「網易」はコラムで、吉村がリオデジャネイロ五輪で団体銀メダルに貢献したことや過去の世界選手権での活躍を紹介。その上で、今年の世界選手権において「日本チームにとって最大の損失は混合ダブルスで吉村と石川を組むことができず、石川が混合ダブルスに出場しないことだ」と指摘した。

 その一方、コラムでは今回は水谷が一線から退き、宇田幸矢、戸上隼輔(ともに明大)といった若手が名を連ねたことや吉村の年齢にも触れ「石川と吉村はアスリートとしては年配で、練習量などは徐々に限界に達する可能性がある。そうなると、2人が混合ダブルスでプレーするのは難しいかもしれない」

 続けて「吉村がいつ実戦に復帰するか不明だが、戻ってきたとしても彼のポジションは新世代のプレーヤーに取って代わる可能性もある。もしかすると、石川に別れを告げたのではないか」と推測した。

 吉村、石川組が初めて世界選手権に出場したのは13年。当時は3回戦敗退に終わったが、15年には38年ぶりとなる銀メダルを獲得した。さらに、19年は張本智和(木下グループ)と石川が組まれながらも、張本の負傷により再びコンビを結成。そして、限られた練習時間で試合に臨むと、息の合ったプレーで3大会連続表彰台となる銀メダルを手にした。

〝東京五輪以前〟に中国を脅かした最強ペア。もう一度組む機会があれば、ファンが喜ぶことは間違いない。