ロシアのアンチ・ドーピング機構(RUSADA)の元所長で同国の不正を内部告発してきたグリゴリー・ロチェンコフ氏がフィギュア女子のカミラ・ワリエワ(15=ROC)から検出されたトリメタジジンの接種は「日常的だった」と指摘した。英紙「デーリー・メール」が伝えている。

 ロチェンコフ氏は2014年ソチ五輪に向けて世界を騒がせたロシアの薬物スキャンダルの中、数々の陽性テストを隠ぺいしてきた中心人物。さらに禁止薬物をアスリートに提供するなど多くの不正に関与したが、米メディアなどにロシアスポーツ界のドーピング実態を暴露。現在はロシアを脱出し、支援者の下で保護されている。

 同紙によると、ロチェンコフ氏はワリエワから検出されたトリメタジジンについて「ソチ五輪前から禁止されている。ロシア国内でもトリメタジジンで陽性が出ているが、開示されなかった」と告白したという。その上で「ロチェンコフは、国が後援するドーピングの最盛期にロシアのアスリートの間でトリメタジジンが日常的に与えられていたことを明らかにした」と報じている。

 実際にソチ五輪ではクロスカントリーで銀メダルを獲得したロシアのマキシム・ビレンガニからトリメタジジンが検出され、メダルをはく奪(18年2月に回復)。また18年平昌五輪でもロシアのボブスレー選手、ナデジダ・セルゲエワも検査でトリメタジジンが検出された。同紙は「ロシアのスポーツ界で乱用されていた歴史がある」と伝えている。