先月、千葉県我孫子市の排水路脇で全裸遺体で見つかったベトナム国籍の小学3年生レェ・ティ・ニャット・リンさん(9=当時)の事件は、衝撃の結末を迎えた。死体遺棄容疑で14日に逮捕された自称不動産賃貸業の渋谷恭正容疑者(46)は、リンさんが通っていた小学校のPTA会長(保護者会会長)で、登下校を見守っていた。おぞましい凶行に至った背景とその素顔は――。

 リンさんは先月26日、排水路にかかる橋の下で、顔を殴られ、首にはヒモのようなもので絞められた痕のある凄惨な姿で発見された。逮捕の決め手となったのは遺体など複数の遺留物から同容疑者のDNA型が検出されたことだった。ベトナム現地メディアは、司法解剖後に千葉県警がベトナム当局に対し、「リンさんは性的暴行を受けた可能性があると伝えた」とも報道していた。

 同容疑者はPTA会長として学校行事を仕切る立場にあり、毎朝、通学路で児童の登校を見守っていた。そこでリンさんに声をかける姿も近隣住民に目撃されている。驚くことに小学生の子供が2人いた。

 さらに事件後は、リンさん家族のベトナム渡航費を支援しようと募金活動の音頭をとったり、PTA会長として入学式で式辞を述べたりするなど、何食わぬ顔で地域活動に参加していた。

 リンさんと同学年の子供を持つ母親は「昨日(逮捕前日)もお子さんの手を引いて一緒に通学していた。子煩悩な方と思っていた」と話す。リンさんをあやめた手で我が子の手を引いていたとは信じがたい。

 平静を装っていた同容疑者だが、リンさんが行方不明になった当日は通学路での見守り活動に現れず、葬儀にも出席しなかった。「後から〝インフルエンザ〟で参列できなかったと聞いたが本当かどうか…」(同)。保護者にとって、今となっては怒りしかないのは当然だ。

 同容疑者は小中高と地元の公立校に進み、一時期は北海道で暮らしていたが、約15年前に地元に戻ってきたという。「母親が建てたマンションの家賃収入で生活していた。両親は離婚して、母親が死んでお姉さんも3年くらい前に突然死んだんだよ。(容疑者は)北海道でも結婚して子供がいたと聞いた」と地元民。

 別の住民は「7~8年前に奥さんを見かけた時はまだ20代前半くらいの一回り以上離れている若い奥さんだったが、ここ1~2年見かけない」という。また現在は東南アジア系の女性と同居しているという話もあり、女性関係はかなり複雑そうだ。しかし、なぜ幼女に向かったのか?

「警視庁強行犯捜査官」(さくら舎)の著書がある元警視庁刑事で犯罪ジャーナリストの北芝健氏は「小児性愛というのは持って生まれた病気です。PTA会長は子供との接点ができると同時に信用の仮面も手に入る。定期収入があり、暇人だからこそ欲望に目が向き、ボランティアを買って出たとみられる。犯行後も平然と地域活動をしているのはサイコパスの特徴で、見守り活動を続ければ捜査状況などの情報収集にもなるからです」と指摘する。

 ベトナム人のリンさんが狙われた点については「アジア系女性と同居していることからも一つの嗜好だと考えられる。小児性愛者にとって幼女は成長すれば興味対象外になるので、本人から見て、最も魅力的な時期で欲望が膨れ上がった可能性もある」(同)。

 人一倍警戒心が強かったというリンさんだが、守ってくれるハズのPTA会長に声を掛けられれば、心を許したのも仕方のない話。毒牙にかかってしまったリンさんは、あまりにふびんでならない。