世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題に詳しい全国霊感商法対策弁護士連絡会が12日、安倍晋三元首相(享年67)が銃撃された事件について都内で会見を行い、「旧統一教会の反社会的側面を知ってほしい」と訴えた。

 山上容疑者の母親は旧統一教会に多額の献金をし、家庭崩壊にまで至ったとされる。同連絡会が発表した声明では、犯行を「決して許されないこと」としたうえで、「多くの元信者やその家族、2世信者の苦悩や葛藤、生活の困窮などの悩みに接してきた当会としては、かねてよりこのような実情について憂いてきたことであり、その意味で、山上被疑者の苦悩や教会に対する憤りも理解できます」とした。

 同時に「行政も政権を担う党の政治家もこの30年以上何も手を打ってきませんでした」と旧統一教会と距離を縮める政治家たちの責任も問うた。

 会見には、母親が旧統一教会信者だという女性が顔を隠した状態で出席し、自らの体験を述べた。自身も信者となり合同結婚式を行ったが、相手の男性から暴力を受けるなどして離婚。教祖・文鮮明氏の死で自分の洗脳は解けたというが、母親から逃れるために一家離散状態になっているという。

 山上容疑者も母親が信者だった。そして家庭崩壊した恨みを旧統一教会、そして、つながりがあるとされた安倍氏に向けていたとされる。前出の女性は「犯人のしたことは何ひとつ擁護することはないが、人生を統一教会によって破綻させられた身としては理解できてしまう苦しい心情があります」と話した。

 弁護団からは、宗教2世である山上容疑者に「声をかけてほしかった」と、相談があれば対応もできたと悔やむ声もあった。もし事件を起こす前に山上容疑者が同連絡会に相談に行っていたら、何ができたのか? 銃撃するほどの大きな“恨み”を解消することも可能だったのか?

 同連絡会代表世話人の山口広弁護士は「相談があったならサークルがあるので紹介して、同じ思いをしている人たちと話し合ってもらいます」と、語らせることで1人でため込ませず、恨みを緩和させるとした。

 また、「息子の説得で母親が考え方を変えるというのはある。その際、母親のやることに『だまされてるよ』『マインドコントロールだよ』『詐欺でしょ』などは言っちゃいけない。『よかれと思ってやったんだよね』と受け入れるところから始めて、そこから辛抱強くどういう気持ちでやったのかを聞いていく。すると母親も息子を説得しようと思って勉強して自分で考えるようになる。そういう対話力が重要なんです」と指摘した。

 すぐに否定するのではなく、自らの行動を自分で考えさせることで冷静になれることもあるという。山上容疑者に他人を撃つのではなく他人に相談するという発想があればよかったのだが…。