新型コロナウイルス禍による中断から再開後のJリーグで、早速若手が躍動している。4日に再開にこぎつけたJ1で、とにかく目立ったのがフレッシュな選手の活躍。今季は過密日程で各チームとも総力戦で臨むため若手の出場機会が増えることが予想されたが、再開直後からその傾向が顕著に表れた。今後はまだ見ぬ逸材がさらに出現しそうで、来夏の東京五輪に向けても楽しみが膨らんできた。

 今季はリーグ戦の期間短縮による過密日程、降格なしのルール変更などによって各チームの戦い方にも変化が生まれる。特に、FC東京の長谷川健太監督(54)が「来年を見越して、若手を起用となってきたりすると思う」と指摘したように、積極的に若手を抜てきするケースが予想されていた。

 そんな中で迎えた待望のJ1再開初戦では、これまで実績のない若手の登用が相次いだ。

 天皇杯覇者の神戸を相手に3―0と快勝した広島では、途中出場のFW浅野雄也(23)がJ1初ゴール。「自分はいつ出てもいい準備はしていたので、何の問題もなく入れた」と充実の表情。日本代表で活躍するFW浅野拓磨(25=パルチザン)の弟が、兄に続くブレークを狙う。

 また、仙台は湘南戦で18歳のGK小畑裕馬がJ1デビュー。冷静なクロス対応やセーブでチームを1―0の完封勝利に導いた。「どれだけ普段のプレーをできるか意識した。結果がついてきてよかった」と守護神として最高のデビュー戦となった。

 名門鹿島でも高卒ルーキーのFW染野唯月(18)が途中出場でJデビュー。積極的に攻撃に絡み「まずはデビューできてうれしいし、自分の持ち味であるシュートを打てたのは良かった」と今後の飛躍へ手ごたえを口にした。

 他にも多くのチームで10代の選手や有望株が出場し、Jリーグに新風を吹き込んだ。今後はシーズンが進むにつれて、ユース世代も含めてさらなる若手の抜てきが続くのは確実だ。

 そうなると、来夏に延期された東京五輪でも新星誕生の可能性がある。開催が1年延期されたことで東京五輪代表の森保一監督(51)は「若い選手は短期間で伸びる。今年五輪をやっていれば候補に挙がってこなかった選手がこの1年間で伸びて頭角を現してくる」と新戦力の台頭に期待する。

 FC東京の大卒ルーキーMF紺野和也(22)が「J1で出て活躍すれば代表も近づいてくる。(代表に)一回も選ばれていないけど、どうなるか分からない」と語っているように、出場資格となる来年24歳以下の選手たちにとってはまだまだチャンスがある。異例のシーズンは、世界を驚かすような若手の見本市になるかもしれない。