世界7か国でプレーした〝流浪のフットボーラー〟MF田島翔(39)。カズこと元日本代表FW三浦知良(55=JFL鈴鹿)にあこがれた田島はスぺインやクロアチア、米国や韓国など世界を行脚。現在は神奈川県3部の江の島FCに所属する一方、7月にプロ雀士のテストに合格し、異色の〝二刀流〟として活動中だが、なぜ麻雀界へ足を踏み入れたのか――。(連載全5回)


【サッカーと雀士の二刀流・田島翔が激動の半生を振り返る(最終回)】

 ――それで2020年12月にサンマリノ1部SSペンナロッサ加入した

 田島 イタリア国内にある小さな国のリーグですけど、欧州チャンピオンズリーグの予選や欧州リーグ予選の出場権もあり、大きなチャンスでした。テストを受けて、日本人として初めてサンマリノでプレーする選手になったのですが、そこでもコロナがまん延し始めたんです。約1か月くらいサッカーができなくて、練習も中止となり、街もロックダウン。何をするにもPCR検査を受けないといけなくて、どうにもならず、帰国することにしました。

 ――不運というか、タイミングが悪いというか、苦労が多かった

 田島 そこから熊本のFC・MIFUNEを経て2月からは神奈川県3部の江の島FCで活動しています。2030年のJリーグ昇格を目指しているチームです。ここが現役最後のチームになると思います。

 ――ところでプロ選手としてプレーする一方で麻雀のプロにもなった

 田島 30歳後半になって現役選手をいつまで続けられるかわからない中、サッカー以外で充実感を得るにはどうするか。辞めたらどうなるかって考えていた時、緊張感のある麻雀にいきついたんです。もともと好きでしたので。それにサンマリノにいた時、コロナで外出禁止になり、やることもなくてオンラインでよく麻雀をしていたんです。それでいろいろ調べて真剣勝負ができる「プロになろう」と決めたんです。

 ――たくさんの団体がある中、何でプロ競技麻雀団体RMUか

 田島 プロ麻雀界のトップでMリーグ(渋谷ABEMAS)にも参戦している多井隆晴さん(50)が所属しているんです。ユーチューブなどで多井さんの打ち手を見たのですが、先を読む能力が圧巻でした。盤上の捨て牌や相手の手を読み切っている。「プロってすごいな」と。サッカーも次のプレー、2、3手先まで予測するのが大事じゃないですか。そういうところ惹かれました。もう一つ言えば、最初に電話した時の対応がとても丁寧だったので。

 ――プロサッカー選手とプロ雀士の二刀流

 田島 これから研修を受けて本格的に活動できるのは来年からになります。いずれはMリーグにも出たいですし、最強戦で優勝したいですけど、いまのところは夢ですかね。(終わり)

 ☆たじま・しょう 1983年4月7日生まれ。北海道北斗市出身。北海道函館工を卒業後の2002年にシンガポールへサッカー留学。04年にFC琉球入り。07年シーズン後に退団し、クロアチアやスペインでプレーし、12年にJ2熊本に入団した。その後、ニュージーランドや米国、韓国、サンマリノでプレーし、22年に江の島FCに加入。同年7月、プロ競技麻雀団体RMUの入会試験を受け合格した。168センチ、62キロ。