【WWE】入団から2年の“暗黒の逸女”「イオ・シライから目を離さないでほしい」

2020年05月04日 16時35分

ウェブインタビューに応じたイオ

 米WWE・NXTで活躍する“暗黒の逸女”こと紫雷イオ(29)が、入団から2年を迎える心境を本紙のウェブインタビューで語った。悲願のメジャー昇格に向けた勝負の年となる2020年、負傷離脱と新型コロナウイルス禍に見舞われた逸女は何を思うのか。また、居を構えるフロリダ州オーランドでの生活や結婚観、そして日本のファンに届けたいメッセージとは――。

 ――2020年は不運のスタートだった

 イオ:1月に普通にケガをしましたね…。右ヒザの内側側副靱帯を損傷した。メディカルから「そこそこひどくて全治3~4か月」と言われたけど、私は1か月でいけると思っていた。復帰まで2か月でしたが、回復が早くて驚かれました。

 ――どこで負傷を

 イオ
「ロイヤルランブル」の前のトニー・ストームとの試合で、場外でトペを受けた時にグキッと。ヒザがよくない方向に曲がってしまって。ロイヤルランブルも出る予定だったんですけど、出られなくなってしまい悔しかったですね。

 ――落ち込んだか

 イオ:プロレスができなくなるとか、年単位とか手術とかいうケガではなかったので、心は折れなかった。もう13年もやってますから。それがあってスライドしているので、欠場と試合が減った時期がつながってしまっている。そこはちょっと不利な部分はあるかなと思いますね。

 ――6月でWWE入りして2年。昇格の期待もかかる

 イオ:時間がかかっているとみんな思っているかもしれないけど、冷静に見たら順調な方だと思う。NXTは(昨年9月からUSAネットワークで2時間番組の)テレビ放送が始まり、規模が過去最大になっているので。その分、テッペンまでの道のりも時間がかかっているというのはあると思う。ただテレビに出られる人は一部という状況で、コンスタントに出られている。着実にファンの認知度や支持、そして自分で言うのもあれですが、会場でも歓声をいただけていますね。

 ――生活面はどうか

 イオ:おかげさまで、だいぶ慣れました。「やっと慣れたな」と思っても、翌日目が覚めると「ああ、日本恋しいな」となったりする時期が結構長かった。リング上では通用するスキルもいっぱいあった中で、私生活ってスキルも何もない。言葉も食生活も文化も、来ないと知らないことばかりでしたし。

 ――一番のトラブルは

 イオ:いろいろあって…。パッと思い浮かぶのは試合に向かう途中、高速道路の上で車が止まってしまったこと。電話でロードサービスを呼びたくても伝わらなくて、路肩で5時間過ごした。その日は試合にも行けず立ち往生みたいな(笑い)。

 ――他の日本人選手との関わりは

 イオ:同じアパートにカイリ(セイン=宝城カイリ)が住んでいる。濃厚接触はダメですけど、ルームメート的な存在として毎日会っています。

 ――カイリは2月22日に結婚した

 イオ:そうなんです。おめでたいですよね。すてきだなって。「結婚式やるなら行くから」と言ってるんですけど、いつになっちゃうのか。結婚前は恋バナの相談に乗ったりしてました。

 ――刺激は受けるか

 イオ:恋愛ねえ。そっちの方の刺激は…。今は考えられないですね。米国に移ってきて、仕事ひと筋の生活じゃないですか。煩悩が消えたというか。単身赴任イコール夢を達成するため、のし上がるために来ているので。のし上がることに集中してますね。夢? 世界一の舞台で世界一の試合をすることです。

 ――コロナ禍の影響は

 イオ:日本をじかに見てないけど、米国の方が規制は厳しいですね。銀行も開いてないし、飲食店も早い段階で閉まっていた。外を歩いていると「なんで出歩いているんだ?」くらいの雰囲気もなくはない。家の中でトレーニングとかコンディション調整をやらないといけないので、そこはやりにくいです。トレーニング以外? あつ森(ゲーム「あつまれどうぶつの森」)ですね。ゲームをやるのも正解なんですよ。出歩くくらいならと思いますし、皆さんもバンバンやってください。私たちも外でバリバリやりたいけど、できないので休むことも大事だなって。

 ――何が支えになっているのか

 イオ:みんなの期待かな。東スポさんの賞(東京スポーツ新聞社制定「プロレス大賞」で3年連続女子プロ大賞受賞)もそうですし、後ろ盾を持ってこっちに来た。中途半端では帰れないなって。そして生活にも慣れたので(コロナ禍で)世界的に不安があってもここにとどまることができたし、カメラの向こうの人たちにエンターテインメントを届ける側にいられる。

 ――最後に

 イオ:今はWWEが唯一、試合をコンスタントにやっている会社になっているのかな。皆さんもまずは、ご自身、ご家族の健康に気をつけて過ごしてほしい。その中で退屈だなとか、勇気をもらいたいなと思った時に、試合を通して元気になってもらえるようにやっていますので。ぜひ自宅で熱く、イオ・シライから目を離さないでほしいなって思います。

【2年間の軌跡】スターダムを退団したイオは、2018年6月の日本公演(両国)でWWE入団が発表された。同年9月配信の女子トーナメント「メイ・ヤング・クラシック」1回戦でザヤ・ブルックサイドを相手に白星デビューを飾り、10月の女子初のPPV大会「エボリューション」で行われた決勝ではトニー・ストームと対戦。惜しくも準優勝に終わったが、圧巻の空中殺法でファンの支持を得た。

 その後は当時のNXT女子王者シェイナ・ベイズラー率いるMMA軍「フォー・フォース・ウィメン」との抗争が激化。昨年4月の4WAY形式での初挑戦を皮切りに、6月にも2度の挑戦を果たした。特に3度目のシェイナとの王座戦は金網マッチでの壮絶な一戦となったが、いずれもあと一歩のところでベルトに手が届かなかった。

 7月には全身黒ずくめのコスチューム、メークも不良のようなダークバージョンに変身。ここから負け知らずで、11月のPPV大会「サバイバー・シリーズ」ではロウ、スマックダウンとの3大ブランド対抗女子5対5マッチのメンバーに入り、NXT軍の勝利に貢献した。日本人女子ではアスカ(38=華名)とカイリが、NXTから約2年でメジャー昇格を果たしており、イオへの期待も高まっている。

☆しらい・いお 本名非公表。1990年5月8日生まれ、神奈川・鎌倉市出身。2007年3月4日のMAKEHEN新木場大会でデビューし、姉・美央との紫雷姉妹で人気に。12年3月にスターダムに入団し、ワールド王座「V14」の最多連続防衛記録を樹立。電流爆破戦のリングにも立った。15~17年度の東京スポーツ新聞社制定「プロレス大賞」で女子プロレス大賞を3年連続受賞。18年6月にWWEに入団した。得意技はムーンサルトプレス。156センチ、54キロ。