獣神サンダー・ライガーが気になる話題やプロレス観を語る「獣神激論」。今回は新日本プロレス真夏の祭典「G1クライマックス」(16日、札幌で開幕)を徹底的に占った。団体旗揚げ50周年のメモリアルイヤーに行われる今大会は、史上最多28選手がエントリー。22年ぶりに4ブロック制が採用される。過去最大規模のリーグ戦でライガーが挙げた本命と、注目株は――。
【世界のレジェンド ライガーが語る獣神激論(20)】G1開幕が近づいてきましたね。今年はまず、何なんだ、この人数って(笑い)。Aブロックで気になるのはトム・ローラーやジョナといった未知数の外国人選手。もちろん情報は入ってきてるけど、いざ実際に日本のリングに上がったらどうなのかって楽しみがあるね。ランス・アーチャーのような大きい選手もいるし、怪物だらけのブロックだから、これは(オカダ)カズチカ、大変だぞって印象ですね。
Bブロックではジェイ・ホワイトとグレート―O―カーンの試合(8月6日、大阪)がある意味、ヤマだよね。オーカーンは去年のG1でのザック・セイバーJr.戦が、ものすごいテクニック合戦だったでしょ。彼がもともと持っているものは底知れないものがある。総合の技術プラス、リングの外での戦い方、インサイドワークも身につけてるよね。下手すると、優勝候補の一角になるかもしれない。ジェイはうまさにおいては右に出る者はいないし、色気も出てきて王者としての風格が出ているけど、ナメてると足をすくわれるよ。
Cブロックは割とテクニシャンぽい人間が多いので、これ棚っちょ(棚橋弘至)が有利というか、作戦が立てやすいのかな。ただ、棚橋選手はヒザの不安があるからね。長丁場になった時に果たしてどうって部分はある。それから一番の問題はこれだけの暑さでしょ。今年は過酷だと思うよ~。4ブロック制になると公式戦以外の日程や各選手の試合数がどうなるか。外的要因も大きく関わってくるかもしれないね。
Dブロックは(エル)ファンタズモがどこまでいくか。引っかきまわしてやろうくらいのつもりで、ジュニアの時のようなくせ者らしい戦い方をしていたら優勝は遠い。靴の裏に仕込んだ、どうだってやっても、G1はそんな甘っちょろいものじゃないよ。
突破争いで言えば(ウィル)オスプレイかな。今、本当に強いし、穴がないもん。毎年のようにYOSHI―HASHI選手を優勝候補に挙げてたんだけど、ちょっとメンバーが強いよね…。YOSHI―HASHI選手って、オスプレイや鷹木(信悟)選手にしたら「望むところだ」ってタイプなんだよ。彼のいいところを全部相手に上回られてしまいそうで、ちょっと不利かな~。
あえて優勝候補を一人挙げるならオカダ・カズチカ。6月の大阪城でジェイに負けてるけど、関係ないから。僕はあの試合を見て、ジェイがうまく掌に載せて転がしてるなと思った。そのくらい一方的な試合。僕らでは想像できないくらい、悔しい負け方だったと思うよ。絶対にあのままでは終わらない男だし、オカダ・カズチカここにありを見せるなら、G1が一番いい舞台だよね。旗揚げ50周年を強く意識してきた選手だし、ここで自分の名前を刻みたいと思ってるんじゃないかな。
ぜいたくな話だけど、これだけのメンバーが集まって4ブロックだと、あの試合が見たかったな…みたいなカードがどうしても出てきちゃう。来年は2か月くらいかけて、総当たりでやってみるのも面白いんじゃない? 選手はたまったもんじゃないだろうけど…見たいカードいっぱいあるんだもん、しょうがないやん(笑い)。