新日本プロレスの棚橋弘至(45)が、来春までに現役を引退する武藤敬司(59)への恩返しを誓った。26日(日本時間27日)の米AEWとの合同興行「Forbidden Door」(イリノイ州シカゴ)ではジョン・モクスリーとのAEW暫定世界王座決定戦が正式決定。米トップ団体のタイトル奪取に闘志を燃やす一方で、かつて付け人を務めた師匠との〝再会〟を目指す。


 棚橋は12日の大阪城大会で後藤洋央紀との進出者決定戦を制し、モクスリーとの暫定王座戦に駒を進めた。「ぜひメインでやって、モクスリーを倒して、CMパンクを待ってやりますよ。ある程度の発言権も出てくるだろうし、こっちにイニシアチブも移ると思うので」と、正規王者を国内に呼んで統一戦を実現させるプランを改めて強調した。

 AEW王者として「G1クライマックス」(7月16日、札幌で開幕)に乗り込めば、真夏の祭典もよりグレードアップする。「豪華になりますよね。メモリアルイヤーにふさわしいんじゃないですか。優勝への期待も高めたいですし。あとは僕、米国行ってダイエットしてきます。よく一兎を追う者は…と言いますが、三兎追ってきます。AEW世界王座と、ダイエットとスニーカー」。減量と買い物くらいなら、わざわざ宣言する必要もないが…。

 そんな棚橋の闘志をさらに燃え上がらせるのが、武藤の引退表明だ。かつて付け人を務めた師匠は、来春までの引退を決断。棚橋は「いつまでもやるんだろうなと思っていたので、驚きはありますけど。ヒザの悪さは、手術前は僕の比ではなかった。そういうのも見てきたので、本当に…体をプロレスにささげたというか」と満身創痍の状態を気遣いながらも「お世話になった、インスピレーションをもらった恩返しは、最後に何かしらしたいと思いますよね」と明かした。

 もちろんその方法は、引退ロードでの対戦しかない。「少しでも武藤さんが未練なく引退するためには『もうかなわねえな』って選手が出てくる必要があって。武藤さんはいつまでも自分が最高なので。俺の方が今は上なんだぞって見せたいですね。最後に武藤敬司のマウントを取ること。それが元弟子としての最高の恩返しじゃないかなと思います」と自身が〝引導〟を渡す決意を口にした。

 もちろんそのためには現役トップ選手として対角線に立つ必要があるだけに、今後のAEW王座戦やG1で結果を残していく。

 2009年1月の東京ドーム大会で武藤からIWGPヘビー級王座を奪取した際には「あとは、たすきを棚橋に渡すわけであって。あいつにバトンタッチしたから、あとはあいつらだ」と言わしめた。

 だが、棚橋は「まだ、たすき持ってそうなんで。全部渡してください」ときっぱり。最後の師弟対決は実現するのか、今後の動向から目が離せない。