絶対エースの座は譲らない! 新日本プロレス「レッスルキングダム16」2日目(5日、東京ドーム)で、IWGP世界ヘビー級王者のオカダ・カズチカ(34)がウィル・オスプレイ(28)を退け初防衛に成功。ドーム2連戦で連勝を飾り、文字通り旗揚げ50周年の「顔」となった。王者として最初の大仕事は、ノアとの対抗戦(8日、横浜アリーナ)だ。レインメーカーは対抗戦への〝本音〟を激白。1年8か月前に伝えられなかったノアの若武者・清宮海斗(25)へのメッセージも初公開する――。

 前夜に鷹木信悟(39)を破りIWGP世界王座を奪取したオカダは、2夜連続の王座戦でオスプレイを迎え撃った。ヒドゥンブレイド(後頭部へのランニングバックエルボー)にカウンターのドロップキックを発射すると、開脚式ツームストーンパイルドライバーからのレインメーカーで32分を超える大激闘を制した。次期挑戦者には内藤哲也(39)が名乗りを上げ、V2戦での迎撃が決定的となった。

 晴れて旗揚げ50周年イヤーの「顔」となったオカダは王者としてノアとの対抗戦(8日、横浜)に出陣し、棚橋弘至(45)と組んで武藤敬司(59)、清宮組と激突する。20代から50代まで各世代のトップが一堂に会する注目の一戦だ。

 ノアに対し「興味がない」と公言するオカダをよそに、この日の大会にもノア勢が大挙襲来するなど対抗戦はヒートアップしている。だがオカダは本紙の取材に「盛り上がってるわけですし、それはそれでいいことかなと思うんですけど、対抗戦って本当にある意味で危ないことかなと。そこ(他団体)ばっかりに頼るわけにもいかないですし、やっぱり自分たちの団体をしっかりして盛り上げていかないといけない。僕はもう、継続したら業界が終わると思います」と意外な警鐘を鳴らした。

 両団体とも年始にビッグマッチを控えていたこともあり、今回の対抗戦では過去に実現してきたタイトルマッチは組まれていない。そのため「点から線」を期待するファンの声もあるが、オカダは業界活性化のための持論を明かした。

「何回もやったら、お客さんもそれ以上を求めちゃうじゃないですか。ならそれこそいろんな団体と(1回ずつ対抗戦を)するでもいいと思いますし。極論ですけどね」と、単発で終わるのが理想と主張する。

 打倒・オカダに燃える清宮のことは「本当に知らないんですよね」と突き放すが、2020年5月に相手から放たれた対戦要求は当然、耳に入っていた。当時はあまりに唐突のことで、また団体の方針もあり〝黙殺〟の形となった。

 しかし実は当時の取材でオカダは「何て返そうか決めてたんですけどね。『清宮君、(東京スポーツ新聞社制定プロレス大賞)MVPを取ったらまたもう1回、僕の名前を出してよ』って。僕も2年連続MVPを取って(ジャンボ)鶴田さんと天龍(源一郎)さんの名前を出したじゃないですか」と語っていた。

 自身はビッグマウスに見合う結果を残し続けることで、15年11月に行われた、天龍の引退試合の相手を務めることにもつながった。若い清宮にもオカダなりの「エール」を送るはずだったのだ。それだけに紆余曲折を経て実現する初対決には期するものがあるに違いない。

 ともあれ団体最高峰のIWGP世界王座と対抗戦を盛り上げ、メモリアルイヤーにカネの雨を降らせるのがレインメーカーの使命だ。長引くコロナ禍で業界は苦境が続く。試合後のリング上では「やっぱり声援のある中でプロレスがしたい。もう無観客に戻りたくないですし、しっかりみんなの前で戦っていきます」と涙を見せるひと幕もあった。超満員の観衆と大声援が戻って来るその日を信じて、オカダは最強の王者としてベルトを守り続ける。