東スポと言えばプロレス。プロレスと言えば東スポ。日本マット界の歴史をリングサイドから見続けてきた本紙ベテランカメラマンが秘蔵写真を蔵出し公開! 天変地異が起きようが、家庭が崩壊しようが、プロレス会場に駆け付け、レスラーを密着マークしてきた。〝伝説の一枚〟をとくとご覧あれ――。

 先日、ゼロワンが存続の危機を迎えているというニュースが報じられた。ゼロワンは2001年に故橋本真也さんが設立した団体で、その橋本さんは今月11日に15年目の命日を迎える。果たして橋本さんの墓前に良い報告はできるのだろうか…。

 橋本さんは1984年にアントニオ猪木に憧れて新日本プロレスに入門し、その年の9月にデビューを果たしたが、そのわずか1か月後にまさかの移籍劇が勃発したことがあった。

 それは10月6日のユニバーサルプロレス(旧UWF)の東京・世田谷区用賀駅前広場特設リングの会場で起こった。

 橋本さんは新日本の合宿から近いこともあり、チケットを購入し先輩レスラーの後藤達俊と連れ立って観戦に訪れた。休憩時間にスタッフに促された後藤に連れられ藤原喜明らを表敬訪問した橋本さんは大歓迎を受けた。

 前田日明、高田伸彦(現延彦)らも加わり、話が弾んでいたが、そこから前田が真骨頂を発揮した。

「えー、今から入団発表を行います」と我々取材陣にアナウンス。

 前田、高田、藤原の3人は後藤、橋本さん、そしてあとから合流した小杉俊二の順にそれぞれ、入団会見では“定番”の握手した手を重ね合わすという写真撮影をセッティング。こうして橋本さんの“入団(風)”写真が撮られた。橋本さんは少し戸惑ったような笑顔で写真に納まった。

 取材陣は前田の仕掛けたイタズラに大爆笑。

 橋本さんものちに無類のイタズラ好きとして知られることになるが、この時ばかりは前田の“仕掛け”になすすべもなかった。