暴走大巨人が2020年の好スタートを切った。全日本プロレスの世界タッグ選手権(2日、東京・後楽園ホール)は挑戦者の諏訪魔(43)、石川修司(44)組がゼウス(38)、崔領二(39)組を破り、第87代王者に輝いた。東京スポーツ新聞社制定「プロレス大賞」で3年連続の最優秀タッグ賞受賞から勢いづく諏訪魔は、3冠ヘビー級王座にも照準を合わせ、いよいよ5冠取りに本腰を入れる。

 ピクリとも動かなくなったゼウスに、和田京平レフェリーがカウントを数える。カウント「10」が告げられるや、暴走大巨人は静かに勝ち名乗りを上げた。超満員の客席を見渡した諏訪魔が「2020年、一発目で勝ったぞ、オイ! 世界タッグのベルトがどんな形であれ、暴走大巨人に戻ってきた。夢の5冠戦、究極の5冠戦の続きを追求しようかな。いい?」と呼びかけるや、石川も「明日から死に物狂いの戦いを見せるので、その時に5冠戦を語らせてください」と返答。2人はうなずきあった。

 序盤から苦戦を強いられた。王者組に分断され、2対1の数的不利な状況下での戦いが続いた。それでも17分過ぎだ。孤立させたゼウスにサンドイッチラリアートを決め、すかさず諏訪魔がラリアートを命中。そのままKO決着による王座奪取となった。

 昨年は「世界最強タッグ決定リーグ戦」を2年ぶりに制し、4度目の同王座戴冠を果たした2人が向かうのは、かねて目標にしてきた2本の世界タッグベルトと3冠王座を合わせた5冠戦だ。諏訪魔が3冠王座への思いを強めたのは昨年大みそか。W―1大阪大会の6人タッグ戦で、かつての師匠・武藤敬司(57)と“再会”した時だった。「相変わらず、光輝くオヤジだった。しかも、我が子のことを、なかなか認めねえんだなって。ならシングルプレーヤーとして認めさせてやろうと思った」

 武藤との再戦を実現させ、成長を認めさせるためにも3冠ベルトが必要と痛感した。「3冠を持って(W―1に)乗り込んでやろうという気持ちが強い」。究極の夢に向かい、暴走コンビが王道マットを席巻する。