傷心の後輩のため、〝悪魔仮面〟ケンドー・カシンが動いた。

 カシンが手を差し伸べたのは、早稲田大学の後輩〝バカサバイバー〟こと青木真也(38)だ。3月26日にシンガポールで行われた格闘技イベント「ONE X」で秋山成勲に敗れると、試合後に泣きながら引退を示唆する動画が公開され話題になった。また、その後の本紙の取材でも「冬眠します」と今後の見通しをけむに巻いており、去就が注目されていた。

 そんな後輩の姿に黙っていられなかったのだろう。本紙を通じ、カシンから青木を食事に誘った。「カシン先輩に少しでも近づくために格闘技をやっている」と敬意を公言する青木がこの誘いを断るはずもなく、二人は合流。都内某所のシンガポール料理店で席に着くと、サテー、蒸し鶏、空心菜の炒め物、マーラーピーナッツなどに舌鼓を打ちながら、プロレス談議に花を咲かせた。

 そして2軒目に移動したところでとうとう本題に及ぶ。カシンは「引退もいいけど、そろそろ復帰するべきだ。大体、秋山はまた〝何か〟やったんじゃないの?」と切り出した。この突然の言葉に青木は戸惑うばかり。SNSでも話題になっている試合当日の秋山と青木の体格差に、悪魔仮面も思うところがあるようだ。いや、それよりも青木は「引退」を明言していないのに復帰を促されたことの方に驚いている様子だが…。

 それでもカシンはさらに「何もないわけないだろ! (2006年3月に秋山と)1回戦った俺が言うんだから間違いない。だから真実を究明してもう1回戦うべきだ。その時、なんだったらさくらば…(以下略)」と語気を強めた。

 何はともあれ「現役続行」と「再戦」を促された青木。00年8月にハイアン・グレイシーに敗れるも翌年7月にリベンジを果たした先輩からの重い言葉に「分かりました。ちゃんと引退したわけじゃないんですけど、復帰します」と声をしゃがれさせた。

 この言葉を聞いたカシンは大きくうなずき「秋山だけじゃない。青木君にはリベンジしなきゃいけない相手がたくさんいるだろ。フェロモンズも、竹下幸之介もそうだ。だからまずはフェロモンズから。青木君のリベンジロードは始まったばかりだ」。青木も「分かりました!」と即答し現役続行が決まった。何か最後はおかしな方向で話がまとまったような気もするが、それはそれだ。