【プロレス蔵出し写真館】東京・新橋にある「ジャイアント馬場バル」がオープンから2年、馬場さんの23回目の命日になる今月31日をもって閉店する。

「馬場バル」は、馬場さん生前愛用していた靴(グッチ、イタリアのア・テストーニ、アリティオリなど専用の足型もあった)やガウン、そして想い出の写真が多数飾られていて、名物の16文ハンバーグ、元子式コンソメビーフシチューなどのメニューが好評だ。

 店内のモニターには懐かしい試合映像も流れていて、先日訪れた時は、馬場&ブルーノ・サンマルチノ組VSタイガー・ジェット・シン&上田馬之助組(1981年10月9日、蔵前国技館)の試合が流れていた。

 さて、写真は馬場さんの屋外での散髪風景。今から33年前の88年(昭和63年)5月16日、栃木・鹿沼木工団地グラウンド大会の試合前、初夏の日差しを避け木陰で髪を切る馬場さん。理容師の吉田善保さんは、和田京平レフェリーが運転するキャデラックに同乗して会場に来ていた。

 吉田さんの「理容ヨシダ」は和田レフェリーの近所で、東京・港区白金の四の橋商店街にあった。04年にはテレビ東京系「出没!アド街ック天国」で、馬場さんが20年間通った店として紹介された。
 
 馬場さんはキャピトル東急ホテルのラウンジ「オリガミ」を頻繁に利用していて、ホテルで髪も切っていたが、和田レフェリーに「理容ヨシダ」を紹介され、こちらに鞍替えした。

「馬場さんは『(ホテルで偶然)俺の髪を切ってた人に会うと、うらめしそうな顔で俺を見るんだよな~』なんて言ってたね」(和田レフェリー)

 馬場さんは全日本プロレスの初期のころは髪を伸ばしていたが、それは頭突き対策だったと後に語っていたが、これはリップサービスだろう。
 
 吉田さんは、「馬場さんは15日に一回、店に来てましたよ。ハワイの行き帰りとか、ショーバイ(日本テレビ系「クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!」)の前日にも、『明日収録があるんだよ』なんて言って。カットは、頭の傷が見えないように工夫しましたね。それに、頭も普通の人より大きいから時間はかかりました」と教えてくれた。

 馬場さんの還暦セレモニー(98年1月23日、後楽園ホール)が行われた日の試合前、プロレス写真記者クラブでお祝いの赤いちゃんちゃんこと帽子を贈呈した際、写真撮影のため馬場さんに帽子を被せたが、確かに大きかった。
 
「馬場さんとどんな話をしたかって? ゴルフの話をよくしてたけど、私は(ゴルフは)しないからね~」吉田さんは、そう故人を懐かしんだ。

 ザ・グレート・カブキ、永源遙も通っていた同店は、すでに閉店している。しかし、「昨日も京平ちゃん来てましたよ」。時代が令和になっても、和田レフェリーは付き合いを大事にしているようだ。

「理容ヨシダ」は馬場さんが愛した理髪店だった(敬称略)。