闘病中のアントニオ猪木氏(78)が18日、自身のユーチューブチャンネル「最後の闘魂」で愛弟子の長州力(69)と対談。過去の海外遠征を振り返りつつ、現代のプロレス界に〝金言〟を送った。

 猪木氏は9月29日に愛弟子3人(藤原喜明、長州力、藤波辰爾)と対面した模様の一部を「デビュー60周年3本勝負」と称して公開。この日はその中の2本目として、最近ユーチューバーとしても人気を集める長州との対談のロングバージョンがアップされた。

 師匠を前に「まさか会長とユーチューブをやるとは…。今、緊張感でいっぱいですよ」と話す長州に対し、猪木氏は最近の活動をチェックしていると明かした上で「自分の人生が全く、思ってもない方向に走ってるんじゃないの?」と笑いかけた。

 その後、話題は過去の海外での活動に。1990年のイラク人質解放について猪木氏は「こんなのは俺が願ってやってるわけでも何でもない。『俺しかいないじゃん』っていう」と使命感からの行動だったと明かす。その上で「人が何と言おうと構わないんだけど。国連も動けない、政府は当然ね。これは自分のことで、エラいとかエラくないとか、評価なんか関係なしに『俺はこれができた』っていう心の中にある宝でしたね」と話した。

 また、84年のパキスタン遠征にも話は及ぶ。長州が当時を振り返り「パキスタンで向こうの政治家が来て、パーティーをやってくれたんですよ。そうしたら雨が降り出して…」。パキスタンに渡る前、猪木氏から「そういう(公式の)ところに出るから、そういう服を1着持っていけ」と言われた長州は、真新しいスーツと靴を着て猪木氏のそばに立っていたのだという。

 その一張羅で1時間雨ざらしになったと苦笑すると「まあ『濡れるのは構わないな』と思ったら、(猪木氏から)『ホテルでクリーニングに出せ』って全部やってくれたんです。そしたら向こうのクリーニングがすごいアイロンがきつくて折り目がピッチリで、ちょっと引っ張ったら切れそうなくらいだった。そういう思い出もありましたね」と目を細めた。

 数々の思い出を振り返りつつ、猪木氏は「いろんなことをやりすぎたというか。人がビックリすることというのが基本だからさ。ビックリさせるのは大変だよな」と笑う。

 そして最後に「プロレスももう、あんまり見ないようにしてるんだけど」とした上で「若い連中が1つだけね、何でも柔道でも空手でも『道』というものがあるわけだから。『プロレス道』と言ってもいいけどそういう、客にウケるようなことばっかりじゃなく『これだったら許してやる』くらいの。ファンを逆転させないとね」と現役選手へのアドバイス。

 続けて「これをやってる限りは、生きてるのかなあと思うけど」とほほ笑むと、2人で「1、2、3、ダー!!」を決め、対談を締めた。