【1976年10月7日】猪木VSアンドレは「この試合こそベスト」怪力&俊敏さも披露

2020年11月23日 10時00分

【写真左】猪木をカナディアンバックブリーカーの体勢に持ち上げるアンドレ【写真右】弓矢固めを狙う大巨人。笑顔が不気味だ

【猪木に挑んだモンスター】アントニオ猪木の異種格闘技戦の対戦相手として、ひときわ異彩を放っているのが同じプロレスラーの“大巨人”アンドレ・ザ・ジャイアントだ。

 1976年2月6日、猪木はミュンヘン五輪柔道2階級制覇の“赤鬼”ウィリエム・ルスカと激突。ここから異種格闘技戦がスタートした。同年6月26日にはボクシングの現役世界ヘビー級王者モハメド・アリと対戦。同じ日、アンドレは米ニューヨークのシェイ・スタジアムで開催されたWWWF(現WWE)のビッグイベントで、アリと対戦したことで知られるチャック・ウエップナーに圧勝した。

 そんな流れから、大巨人は猪木がプロレス代表として他流試合に臨み、格闘技世界一を主張することにクレームをつけて挑戦を表明する。猪木もこれを受けて同年10月7日、東京・蔵前国技館で格闘技世界一決定戦、いわゆる異種格闘技戦として激突。ちょっと無理があるようにも思えるが、当時のプロレス少年たちは「猪木とアンドレなら、勝った方が格闘技世界一だ」と素直に納得したものだ。

 時間無制限1本勝負で行われた試合は、互いの持ち味を十分に出し切った激闘となり、序盤から見どころ満載。腕を蹴りまくった猪木はキーロックに移行し、徹底した腕殺しに出る。すると大巨人は腕を決められたまま、文字通りヒョイと持ち上げてみせ、場内をどよめかせた。

 猪木も負けてはいない。カナディアンバックブリーカーの体勢に持ち上げられると、機転を利かせてトップロープを蹴り、反動を利用して身長223センチ、体重232キロの巨体をリバーススープレックスでマットに叩きつけた。勢いに乗る猪木は一本背負いを決めてみせ、その後はナックルパートの乱れ打ち。すでに場外乱闘でヘッドバットを鉄柱に誤爆していたアンドレの流血はますますひどくなり、マネジャーのフランク・バロアがタオルを投入。23分44秒、レフェリーのミスター高橋が試合を止めた。

 体重が極端に増えて動きが鈍くなった80年代と比較すると、人間離れしたパワーに加え俊敏さも備えた大巨人は迫力満点。何度も行われた猪木―アンドレ戦の中で「この試合こそベスト」という声は少なくない。(敬称略)

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