DeNA・今永昇太投手(28)が7日の日本ハム戦(札幌ドーム)で、史上85人目(96度目)となるノーヒットノーランを達成した。球団では実に52年ぶりとなる快挙に、球団OBで本紙評論家の遠藤一彦氏は「もっともっと稼げる投手ですから」と祝福した。


「まさか自分がノーヒットノーランを達成できるとは思わなかった。何者でもない一投手をみんながこういう結果に導いてくれた」

 快挙達成の今永は、そうナインに感謝し「(9回のマウンドは)正直、達成した後のこと、みんながマウンドに集まってくる場面をイメージした。その通りになってホッとしています」。前夜、札幌市内の宿舎のバイキングには海の幸も並んでいたが、登板前とあって「ちょっと生モノを避けた」。最高の結果に「今日はたらふく楽しみたいですね」と笑った。

 開幕は左腕の肉離れで二軍スタート。5月6日の広島戦で一軍復帰し、この試合が今季5試合目の先発登板だった。2020年10月に左肩のクリーニング手術を受けるなど、故障に泣かされてきたが、本紙評論家の遠藤氏は「球団では52年ぶりですか。僕も含め、それぐらい先輩たちができなかったことをやってのけたのがすごい。もともと高い能力を持っていたわけだし、復帰してからも安定した投球内容が続いていた。手術後は、何となく不安を感じながら投げていたように見えたが、ようやく体がなじんできたんだと思う。これは本人しかわからないことだけど、腕を振る怖さがなくなったのでは。そういう意味では、驚くというよりは〝良かったなあ〟という感じですね」と祝福した。

 そんな今永を遠藤氏は「相手打者からしてみれば、球速以上に感じるボールのキレがある。今の球界を見渡してみても、左腕ではナンバーワンじゃないかな」と見ている。だが、そんな能力を持っていながら、ここまで故障などの影響もあってプロ6年目で2桁勝利は17年(11勝)と19年(13勝)の2度しかない。今季推定年俸も1億円にとどまっているのだが…。

「間違いなく、もっともっと稼げるピッチャーですよ。この日は117球でしたが、へばる感じもなかったし、球数も投げられる。故障さえなければ日本を代表する投手なんですから」(遠藤氏)

 昨夏の東京五輪では手術明けということもあって日本代表入りを逃したが、19年のプレミア12では世界一に貢献。来年開催予定のWBCでも活躍が期待される。球界ナンバーワン左腕にとって、今回の快挙はその実力にふさわしい〝勲章〟といえそうだ。