ボスの怒りが選手に届いたか。日本ハムが11日のオリックス戦(札幌ドーム)に5―2で快勝。計6盗塁に加え、いずれも20代前半の若き中軸3人(清宮、野村、万波)に安打が出るなど打線がつながり、チームの連敗を2で止めた。

 前日までの低迷ぶりがウソのようにナインが躍動した。初回の満塁機に押し出しと敵失で2点を先制すると、その後は終始日本ハムペース。2回二死一、二塁では打率1割台と不振を極めていた清宮が、右翼線に2点二塁打を放つなど序盤2回までに大量5点を奪って勝利を決定づけた。

 もっとも、この突然の選手の発奮ぶり。チーム周辺では「ボスの怒りが大きかったのでは」という声が大勢を占めている。前日10日の試合で敗戦後、新庄剛志監督(50)は報道陣に対応せず、代わりに広報を通じてこんなコメントを残した。

「一軍に残りたいという姿勢がまったく見えない。バットを出さない限り一生結果は出ない」

 10日の試合では野村、清宮、片岡らが好機に見逃し三振を喫した。このふがいない攻撃陣にビッグボスは怒り心頭だったのだろう。

 指揮官の胸中は試合前の動向にも明確に表れていた。通常なら若手選手の早出練習を見守るが、この日グラウンドに姿を見せたのは全体練習が始まった後の午後2時30分過ぎ。練習中に各ポジションを回って選手に声をかけるのが「ボス流」だが、この日はグラウンド入りするや打撃練習時に設置される「ビッグボスステージ」に着座。そのまま1時間以上移動することなく厳しい表情のまま練習を見守った。服装もあえて〝ボスカラー〟の派手な赤を避けるように、この日は漆黒系で統一。トレードマークのサングラスもつけず、リストバンドやマスクも黒にする徹底ぶりで威圧感を醸し出していた。これまでの明るさを前面に打ち出した姿勢とは一変したこの変貌ぶり。異変を察知した選手の奮起に一役買ったことは言うまでもない。

 そんな新庄監督は試合後、チームの勝利にもかかわらず「金子君がいいテンポで投げてくれたおかげで打線がつながった。攻撃面では作戦を決めてほしいところでミスがいくつかあったから、それを減らしていかないと成長はないね」との辛口コメントを広報に託して球場を後にした。チームはこの緊張感のまま波に乗っていけるのだろうか。