球界に〝ビッグボス旋風〟が吹き荒れている2022年。日本ハム・新庄剛志監督(50)との縁をきっかけに新たなステージでの挑戦を続けている男がいる。DeNA、オリックスでプレーし、現在は九州アジアリーグの大分B―リングスで選手兼コーチを務める白崎浩之内野手(31)だ。〝ビッグボスとの出会い〟により独立リーグで野球を続けることを決断した、かつてのドラ1の現在地は――。

 ビッグボスとは今でも折に触れ、連絡を取らせてもらっている。白崎にとっては現在の充実した日々につながる〝運命の出会い〟だった。「ああいう出会いがあったというのが、自分の人生の中ですごく大きなことだったなと思っています」と振り返った。

 2013年のドラフト1位でDeNAに入団。2年目には101試合に出場した。しかし、移籍したオリックスで20年に戦力外になる。「何の仕事をしようか真剣に考えた」。野球の道をあきらめかけてもいた。そんな時、わずかな望みをかけて受験したトライアウトで知り合ったのが、当時現役復帰を目指していた新庄監督だった。

 北海道出身の白崎にとって新庄監督は中学時代に地元にやって来たスーパースター。共通の知人がいたことで親しくしてもらい「友だちいないしキャッチボールの相手してよ」と声をかけてもらった。終了後にはバットも譲り受けている。何より野球に対する考え方を聞き、大いに刺激を受けた。

 1年前、白崎はこう話している。

「お話をさせてもらって率直にカッコいいなと思いました。それに年齢のことを言うのは良くないかもしれないが、あの年齢で、あのスタイル、あのプレー、躍動感。僕なんてまだまだじゃないかって。それに野球を楽しむことをすごく伝えてもらいました。分かってるつもりでしたけど、本当に楽しめていたかなと考えた時に…」

 独立リーグで再出発することを決めたきっかけでもあった。

「ボロボロになるまで、おなかいっぱいになるまで野球をやりたいと思わせていただいた。(独立リーグ入りは)大きな決断でしたが、勝手にですけど背中を押してもらったくらいに思ってます」

 昨年、大分球団の立ち上げと同時に入団して今季が2年目。そんな白崎の現在地とは――。

 野球を楽しみ、若い選手たちと汗を流している。今季はコーチとの兼務ながら、より選手としてのプレーに力を入れて、チームの勝利に貢献するつもりだ。また、今年から名刺には「球団アドバイザー」の肩書も記載されている。入団当初Bクラス常連で人気も低迷していたDeNAが、大幅に観客動員数が増えるなど変革していく過程を目の当たりにしてきた。その経験を生かして取り組んでいくつもりだという。

「自分の価値ってそこにあるんじゃないかと思って。当時、チームが変わっていくのを感じた部分があった。球団が何をしていたか、自分は何を頼まれていたか。経験したことを伝えていくのも野球振興なのかなと思うんです。僕はこの環境で成長させてもらいました。ここでプレーしている選手たちやリーグの価値を少しでも高めていきたい。NPBと同じことをやっていても収益面で難しい。独立リーグだからこそできることもあると思うんです」

 これからも〝ビッグボスイズム〟を胸に九州の独立リーグから野球界を盛り上げていくつもりだ。そして、少し照れくさそうにこう話した。「新庄さんにもお話をさせてもらったんですが、土地的な縁もありますねって。僕の故郷・北海道で新庄さんが監督をされていて、新庄さんの故郷・九州に僕がいて…」

 ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏が創立した新球団「福岡北九州フェニックス」にも注目が集まる「ヤマエ久野 九州アジアリーグ」は19日に開幕する。