【広瀬真徳 球界こぼれ話】日本ハム・新庄剛志監督(50)が相変わらず注目を浴び続けている。

 春季キャンプ中の実戦から「ガラポン打線」で周囲を仰天させると、その後のオープン戦でも連日のように話題を独占。本拠地初陣となった2日のヤクルト戦(札幌ドーム)では試合前に報道陣にスタメンオーダー予想を提出させたかと思えば、実際の試合では選手の守備位置や打順をシャッフルするなど、とどまるところを知らない“劇場ぶり”である。

 こうしたビッグボスの数々の試みや言動。野球ファンの間では賛否の声があるが、当の本人は気にするそぶりを見せていない。それどころか「選手やファンのためなら」と率先してパフォーマンスを繰り広げている。これまでの球界では類を見なかった新しい監督像。話題に事欠かないのも無理はない。

 もっとも、そんなビッグボス。一般社会に置き換えた場合、今の若い世代に「上司」として受け入れられるのか。

 個人的にそんな疑念を抱いていた先月末、多方面で活躍する20代の若者が数十人集まる会合に参加する機会があった。「せっかくのチャンス」と思い、その席で「もし新庄監督が自分の上司だったらどうか」と出席者に尋ねてみた。

 するとどうか。大半の若者が「ありだと思います」という返答だった。これには驚かされた。

 一般的に破天荒な上司は何を考えているかが理解しにくいため、好き嫌いが分かれる。この点から一定数の若者は新庄監督のようなタイプを敬遠するのではないかと予想していた。だが、実際は違った。ある若者が「新庄さんのように感情を表に出してくれる上司の方がついていきやすい」と言えば、別の20代後半の営業職男性も「新庄さんは『まずは自分でやってみろ』と自主性を重んじてくれる印象がある。最初から高いノルマを課す上司よりは絶対にいい。自分で何とかしようと考える力もつくと思う」と真顔で語っていた。

 彼らは新庄監督と面識はなく、会ったことすらない若者たちばかり。あくまで見解はテレビやネットなどの映像から想像したものに他ならない。それでも出席していたほぼ全員がビッグボスの指導ぶりを好意的に受け止めていたことを鑑みると、新庄監督の立ち居振る舞いは今の時代や若者が切望していた上司の理想形なのかもしれない。

 チームや球界の活性化のために一肌脱いでいた感のあるビッグボスだが、いつの間にかその影響力は一般社会の若者世代にも浸透しつつある。

 唖然失笑だった「劇場型采配」は今や昔のこと。いろいろな意味で侮れない存在になってきた。

 ☆ひろせ・まさのり 1973年愛知県名古屋市生まれ。大学在学中からスポーツ紙通信員として英国でサッカー・プレミアリーグ、格闘技を取材。卒業後、夕刊紙、一般紙記者として2001年から07年まで米国に在住。メジャーリーグを中心にゴルフ、格闘技、オリンピックを取材。08年に帰国後は主にプロ野球取材に従事。17年からフリーライターとして活動。