「ドカベン」「あぶさん」などの人気野球漫画で知られる水島新司さんが10日、肺炎のため都内の病院で亡くなった。82歳だった。
野球愛があふれる作品を世に送り出した水島さん。野球の「夢」も描いてきた。
「ドカベン」では秘打を操る殿馬や悪球打ちの岩鬼を始めとした個性的で魅力あふれる選手が描かれた。また、セ・リーグの架空球団「東京メッツ」を舞台にした「野球狂の詩」では、魔球・ドリームボールを操るアンダースローの女性投手・水原勇気を誕生させた。
2008年の11月、男性と同一リーグでプレーする史上初の女性プロ野球選手として、ナックルボールを武器とする吉田えり投手(当時16)が関西独立リーグ・神戸9クルーズへの入団が決定した。その際も本紙の電話取材に大喜びで応えてくれた。
「私が水原勇気を漫画に登場させたのは、女性でも変化球で一つ得意な球があったら、プロ野球でも通用するんじゃないかと思ったからです。それで揺れて落ちるシンカー、ドリームボールを投げさせました。水原は女の子としては長い指を持ってるんです。ドリームボールやナックルといった緩い球は相当な技術がないと芯に当てるのは難しい。NPBに挑戦となったら面白い」
さらに吉田が楽天ファンと知るや「野村さん(故野村克也さん=当時楽天監督)なら女性選手でも立派に使い切るでしょう。私も野村さんは昔から知っている仲なので、野村さんにも言ってみますよ」と夢を大きく膨らませて語ってくれた。そもそも水原勇気は野村さんが女性プロ野球選手の〝可能性〟を提示したことで誕生した経緯もあった。
吉田えりは米・独立リーグなどの経歴をへて、現在はエイジェック女子硬式野球チームで選手兼任コーチを務めている。今月10日には、米球界でマイナー初の女性監督が誕生したことで、MLB公式の「野球界のバリアを壊した女性」と題した特集の中でパイオニアの一人として取り上げられた。
現時点ではNPBの壁は高いかもしれない。ただ、いつの日か〝リアル水原勇気〟が誕生する日を水島さんは楽しみにしていることだろう。












