中日・立浪監督の「身だしなみ規制」に異議あり

2021年11月15日 14時00分

選手の身だしなみを規制した立浪監督(東スポWeb)
選手の身だしなみを規制した立浪監督(東スポWeb)

【広瀬真徳 球界こぼれ話】低迷期が長く続いているとはいえ時代に逆行していないか。そう思いながら見守っているのが中日・立浪新監督が打ち出した選手の「身だしなみ規制」である。

 新監督は選手の「茶髪、長髪、ヒゲ」を禁止。時代錯誤を承知のうえで外見から意識改革をしていこうというのである。

 中日は2011年以来リーグ優勝から遠ざかっている。ここ数年は地元ファンも弱体化したチームに興味を失いつつあると聞く。幼少期からナゴヤ球場に通い、メガホン片手に竜党として声援を送った一人としては「強いドラゴンズを見たい」という思いは地元を離れた今も募る。その意味では厳しい指導を提唱する立浪新監督の手腕には期待している。

 それでも野球界を見渡せば選手への身だしなみに関する規制を監督が提言するというのはどうか。厳しい指導者の統制下のもとでスポーツを強いられた中年世代であれば「ある程度の規制は必要」と思うかもしれない。だが、現在の若年世代にその常識を当てはめてはいけない。特に野球界は古い慣習やしきたりがはびこり、時代の変化に適応できていない感がある。

 高校球児の「丸刈り強制」や一部指導者が行う「罰走」などもいまだに行われている。少しずつ変化の兆しがあるとはいえ、一般社会であれば間違いなく「パワハラ」「モラハラ」と訴えられてもおかしくない事例が球界では散見される。その中で選手が指導者に異を唱えれば出場機会を奪われたり干されることも珍しくない。そんな環境を改善するためにも、身だしなみを含めた厳格なチーム統制には疑問を抱いてしまう。

 ファンが不快に感じたりプレーに支障をきたす選手の過度な装飾品等には一定の線引きが必要だろうが長髪や茶髪、ヒゲが見る者を不快にするとは思えない。新監督の理屈通りなら、長髪やタトゥーのある外国人選手は現役生活が短命なのか。矛盾が生じる持論は慎むべきだろう。

 奇抜な服装やアイデアとともに選手と寄り添う日本ハム・新庄監督とは対照的になりそうな来季の立浪政権。「チームが強ければいい」という管理野球が今の選手やファンに受け入れられるのだろうか。

 ☆ひろせ・まさのり 1973年愛知県名古屋市生まれ。大学在学中からスポーツ紙通信員として英国でサッカー・プレミアリーグ、格闘技を取材。卒業後、夕刊紙、一般紙記者として2001年から07年まで米国に在住。メジャーリーグを中心にゴルフ、格闘技、オリンピックを取材。08年に帰国後は主にプロ野球取材に従事。17年からフリーライターとして活動。

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