プロ野球の〝ウィズ・コロナ〟が日本のエンタメを救うか 「ソフトバンク方式」に集まる熱視線

2021年09月10日 11時00分

勝ってファンの声援に応える工藤監督(8日西武戦)

「WITHコロナ」のスタンダードとなっていくのか。緊急事態宣言の延長が9日に決定し、大規模イベント開催の是非が今後も議論されていくことになりそうだが、そんな中、1万人以上の観客を入れて試合が開催されているプロ野球では、ソフトバンクが今月2日から独自に無観客にしていた本拠地・ペイペイドームの試合に関して、ワクチン2回接種者または、直近1週間のPCR陰性者に限り入場を解禁した。球界に限らずエンタメ業界全体が窮地に立たされている中、今回のソフトバンク方式から見えてくるものは――。

 ソフトバンクが日本では初となる観戦体制を敷いたのは今月2日の主催試合から。もともと緊急事態宣言中は独自判断で無観客開催としており、そこにワクチン2回接種者または、1週間以内のPCR検査での陰性者に限り、定められている上限5000人で開放した。また、希望者にはPCR検査のキットを球団が無料で提供した。

 現在のところ4試合を行っており、観客動員数は2日(木)が1630人、3日(金)が2383人、4日(土)が3405人、5日(日)が3155人。球団フロントは「正直、1000人行くか行かないかではないかとも思っていましたので、予想以上に入ったなという印象です。週末は3000人以上も来ていただいた。皆さん了承した上で来てくれていたこともあり、入場時も含めて大きな問題は起きませんでした」と話した。

 同様の取り組みは米国や欧州のプロスポーツでも進められている。また今回のペイペイドームの例でいえば、当然マスク着用は固く義務付けられており、酒類の提供もなく、飲食マナーや声出しNGの観戦ルールも徹底された。前出の球団フロントが話すようにルール違反などの大きな問題も発生しなかった。今後もソフトバンクは緊急事態宣言中において同様の取り組みを続けていくという。

 ソフトバンクの球団関係者は「自分たちで無観客にしておいて言うのも変ですが、興行としてお客さんに球場に足を運んでもらわないとどうにもならないのは事実です。もちろん今回それが目的ではないですが、安心、安全な形で上限を増やしてもらえれば助かります」。その上で「どう捉えられるか分からなかったし、ネットなどの反応でも誹謗中傷もあれば、褒めてもらう言葉もありましたが、いい形に向かう〝観測気球〟に結果としてなればうれしいです」と続けた。

 いわゆる「ワクチンパスポート」の活用に関しては〝ワクチン差別〟を生む危険性もある。ただ間違いなく言えるのは、どのような形を取るのであれ、より主催者側の対策、管理の徹底が求められていくことだろう。音楽業界では愛知で〝密フェス騒動〟が勃発。酒類を提供するなど、ずさんなコロナ対策でクラスターを発生させた。しっかりとした対策を取りイベントを開催してきた音楽関係者には甚大なダメージを与えた。

 東京五輪や夏の高校野球が無観客開催だっただけに、変わらず有観客で行われているプロ野球に対しては「なぜ」との声もある。国民的スポーツとして大きな注目を集める中で、プロ野球界がどのような道を示していけるか。

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