リーグ3連覇、日本一奪回を狙う原巨人がセ・パ交流戦で楽天を相手にカード勝ち越し発進。28日からソフトバンク3連戦(ペイペイ)に臨む。2019年交流戦から9連敗中の「天敵」へのリベンジに燃えるチーム内で気になるのが、ひそかに〝配置転換〟された石井琢朗野手総合コーチ(50)。経験豊富な同コーチに期待される役割とは果たして――。 

 27日の楽天戦(東京ドーム)は先発・滝中に7回途中まで散発3安打に抑えられ、そのまま0―2の完敗。今季3度目の零封負けとなった。

 それでも1戦目17安打9得点、2戦目1イニング3本塁打5得点と2勝1敗で勝ち越しスタート。原監督は「もう黙って勝負します」とソフトバンク戦に切り替えた。

 日本シリーズで2年連続4連敗を喫するなど9連敗中の巨人にとって大きな山場。「結果はどうであれ、勝ちにいきます」(元木ヘッドコーチ)「交流戦第一に戦っていきたい」(宮本チーフ投手コーチ)とチームの士気は上がってる。

 今季を占う交流戦を前に巨人はチーム内にメスを入れた。24日に実松一成・二軍バッテリーコーチ(40)を一軍に昇格。日本ハム出身の同コーチを加えたが〝内閣改造〟はこれだけではなかった。

 交流戦開幕戦となった25日楽天戦(東京ドーム)から、攻撃中の巨人ベンチでは原監督の右後ろに石井コーチが控える。サインの伝達役で、今季はこれまで三軍に配置転換された相川バッテリーコーチの役割だった。

 ベースコーチにサインを正確に伝えることはもちろんのこと、監督からのちょっとした質問に答える必要もある。攻撃が終わると石井コーチはすぐにスコアラーと情報を交換。手帳を開いてスコアやメモを書き込む姿が見られた。

 元木ヘッドコーチとともに指揮官の〝補佐役〟となった石井コーチは試合前練習の役割も変更となった。同コーチは昨季、ヤクルトから巨人に加わると多種多様な種類のティー打撃を使ったマンツーマン指導でベテラン中島の再生に成功。また広島時代の教え子だった丸の打撃を向上させてきた。今季も主に打撃を指導してきたが、交流戦前の中日戦(21日、バンテリン)から村田修一野手総合コーチ(40)と交代。試合前練習ではノック役として守備面を担当している。

 球団関係者は「石井コーチは現役時代にあれだけの成績(2432安打、358盗塁)を残し盗塁王に4度輝いた。指導者としても広島、ヤクルトでチームの機動力を伸ばした実績がある。これまで以上にベンチが機能するため、打てる手はすべて打ったということ」と説明した。

 ここまで巨人はセ2位の36盗塁をマーク。同コーチが〝頭脳〟に加わることで盗塁やエンドランなど機動力でのさらなる得点力向上を狙う意図がある。セ・リーグのライバル球団も「石井コーチの存在は対戦相手から見ればかなりやっかい」と警戒を強めた。

 坂本、菅野、梶谷ら主力選手をケガで欠く巨人だが、現状での戦う姿勢は整えた。果たして鷹へのリベンジはなるか。