【広瀬真徳 球界こぼれ話】プロ野球開幕まで3週間を切った。各メディア媒体では今月に入り野球評論家や球界OBの順位予想が始まったが、パ・リーグの優勝候補に挙げられるのはリーグ5連覇を狙う常勝ソフトバンクと、田中将や新人左腕・早川らが加入した楽天がほとんど。それ以外の4球団を挙げる専門家はごくわずかと言っていい。

 確かに戦力を見る限りソフトバンクと楽天の総合力は群を抜いている。長いシーズンで重要視される投手陣に加え、野手も実績ある顔ぶれが揃う。両球団が抜け出ると思うのは当然で、個人的にもこの予想に異論はない。ただ、現在のプロ野球はリーグ3位に入ればクライマックスシリーズ(CS)に進出することが可能。リーグ制覇を逃しても、日本一にはなれる。その意味で今季「3位なら」と期待を抱かせるのが2年連続リーグ最下位に沈んでいるオリックスである。

 当コラムでもたびたび指摘しているが、オリックス投手陣は球界屈指の充実度を誇る。昨季最多奪三振のエース・山本を筆頭に山岡、田嶋ら好投手揃い。投手コーチ兼任だが阪神から能見も加入した。手薄だった救援陣も4年ぶりに古巣復帰した平野が加わったことで今季は安定する気配が漂う。故障者続出さえなければ投手力はソフトバンクや楽天に引けを取らない。

 課題は攻撃陣だが、昨季首位打者の吉田正の脇を固めるべく楽天からロメロが復帰。来日2年目の助っ人・ジョーンズも守備には疑問符が付くとはいえ、日本野球への適応が見込める。そこにプロ3年目の太田や同2年目の紅林ら若手野手が成長しているとなれば面白い存在になり得るのではないか。

 昨季は開幕10試合で1勝9敗。これで意気消沈したチームはその後低迷を続けたが、8月中旬に中嶋監督代行が指揮を執るようになってからは67試合で29勝35敗3分けと奮闘。球団スタッフに話を聞いても「中嶋さんはファームとの連携がうまく取れる人。このおかげで投手、野手ともに若手が台頭していますし、少しずつ結果も出始めています。この状態を維持できれば優勝とはいかないまでも、昨年以上の結果は残せるはず」と鼻息は荒い。

 野手3人による3失策がいずれも失点につながった5日のオープン戦(対DeNA)のようなお粗末な試合は論外だが、投打で着実に力を付け始めているオリックス。「2強」とささやかれつつあるパ・リーグを盛り上げるためにも今年こそは上位浮上を期待したい。

 ☆ひろせ・まさのり 1973年、愛知県名古屋市生まれ。大学在学中からスポーツ紙通信員として英国でサッカー・プレミアリーグ、格闘技を取材。卒業後、夕刊紙、一般紙記者として2001年から07年まで米国に在住。メジャーリーグを中心にゴルフ、格闘技、オリンピックを取材。08年に帰国後は主にプロ野球取材に従事。17年からフリーライターとして活動。