DeNA・梶谷隆幸外野手(32)は手にした権利を行使するのか。決断が注目されている。

 プロ14年目の今季はけがや不振に苦しんだ昨季から一転、鬼神のごとく打ちまくった。首位打者こそ最終的にチームメートの佐野に譲ったが、規定打席到達で打率はキャリアハイの3割2分3厘。53打点、19本塁打も109試合での数字としては申し分ない。

 昨季の不振から開幕はポジションを約束されない立場でスタートしたが、春から活躍の予感はあった。宜野湾キャンプで本紙が取材した際には「実は去年から野球が楽しくて仕方がないんですよ。野球の本当の楽しさを味わいながらやれているんです。今年はやっちゃいますよ」と宣言していた。一方で「今年は打ち方、考え方の根本から劇的に変えないといけない」とスタイルチェンジを掲げて調整に励んできた。

 打率2割そこそこに終わった昨季の成績からすれば、今年は野球人生をかけた勝負の年でもあった。モチベーションの一つが「FA権」だ。8月21日に権利を獲得すると「野球選手としてうれしい」とコメント。シーズン終了時には「人生の岐路だと思うので、じっくり考えたい」とした。

 元々身体能力が高く、トリプルスリーを狙える逸材と評価された選手だ。肩を手術した影響も心配されたが、シーズン通して外野を守り抜いた。年俸は7400万円。今季の復活を目の当たりにして、複数球団が獲得調査に動いているとの情報がある。

 その梶谷本人はFA権の行使について、こう本音を明かしていた。昨オフの評価は厳しかったが、新天地を求める可能性はないのか。そう聞くと「でも、僕はやっぱり横浜で終わりたい。それは一番望むこと。ハマスタでずっと野球をやりたい」と力強い口調で返した。

 とはいえ心情的に「横浜で…」といっても、プロにとって野球は仕事。球団に評価されてこそ、の思いもある。「男としては必要とされないことほど空しいことはないじゃないですか。必要とされているところで野球をやりたいですし、それが横浜であればいい。また、そう思っていただけるように頑張らないと」と話していた。

 今季の梶谷は来季以降も必要とされるだけの働きは示したはずだが…。球団は宣言残留も認めるスタンス。果たして「横浜で終わる」夢はかなうだろうか。