他球団への流出はあるか。今季限りで退任するDeNAアレックス・ラミレス監督(46)の今後に球界内で強い関心が寄せられている。球団側は来季も別の役職で組織内に残留させたい意向を示しているが、当の本人は身の振り方について現段階で白紙を強調。いまだ不透明な〝ラミの2021年〟に関して「複数球団が指導者として強い関心を寄せている」「ラミレス監督自身も売り込みをかけているらしい」などと、球界内で飛び交う怪情報を追った。

 すがすがしい表情だった。24日の広島戦(横浜)終了後、退任会見に臨んだラミレス監督は前日にリーグ優勝の可能性が消滅したことを受け「こういった結果を招いた責任はしっかり取らなければいけない」とし、自ら退任を申し入れたという。

 会見に同席した三原球団代表は5年間にわたりチームを率いてきた指揮官に謝意を示しつつ「これで縁が切れるというのではなく、何かしらのポジションを用意して、組織の中に残っていただきたいと思います」と退任後も別のポストを新たに設け、引き続き残留要請する方針を示した。

 しかし、ラミレス監督は残り試合もあることから自らの胸の内を明かしていない。今後については「まず自分の妻に相談して、彼女にどんなプランがあるのか聞いてみたい。(監督を辞めたら)時間はあるから、家族とたくさんの時間を過ごすつもりだよ」と話しただけだった。気がかりなのは「将来的に他球団でも監督をやりたい気持ちはあるか」と問われ「他のチームのユニホームを着る可能性もあるかもしれませんが、それはまたその時に考えるべきことだと思います」と含みを持たせた点だ。

 ラミレス監督に近い球界関係者は「彼は来季も監督、もしくはコーチとして現場指導に携わっていきたい意向がある。だから、他のチームへ移籍してでも一軍首脳陣の一員としてマネジメントの一端を担いたい希望が強いと聞いている」と明かす。

 今季は奇策不発のオンパレードで酷評されまくったラミ流采配だが、球界内での評価は高い。長きにわたって低迷していたベイスターズをAクラスの常連へと成長させ、就任から5季で3度のクライマックスシリーズ進出を果たし、2017年には日本シリーズ出場へと導いた。

 選手個々を見ても、宮崎を球界屈指の強打者に育成し、今季も佐野を4番に抜てきして大ブレークさせるなど、手塩にかけたラミレスチルドレンたちが次々と成長。斬新なアイデアとドラスティックな手腕には他球団関係者の間でも「うまくフィットすれば、チームを爆発的に押し上げる力がある」と絶賛する声も少なくない。

 それもあってDeNAの球団周辺からは「だからラミレス監督はFA選手のように契約切れになったタイミングで間違いなく狙われる」と警鐘が鳴らされ、こんな指摘もある。

「かねて複数のパ球団が真剣モードでラミレス監督を来季から入閣させることは可能かどうか本格調査に乗りだしているとのウワサがある。そうした動きと確かな手応えを察知しているのか、どうやらラミレス監督もかなり乗り気になっているようだ。9月末に東スポが今季限りでの退任を先行報道したころ『どうやらラミレス監督が見切りをつけられると覚悟し、自ら水面下で側近らのルートを駆使して他球団へ売り込みをかけているらしい』と真偽不明の情報までもが球界内でまことしやかにささやかれた。今後の流れ次第では、パだけではなくセ・リーグ球団の一軍コーチに滑り込むなんていうことも否定し切れない」(球界関係者)

 球団が新たなポストを用意しようとしているのは情報漏えいに対する懸念があるからだという。ただ、ラミレス監督の望みは現場の要職で「他球団との話がまとまることも想定しているから、ラミレス監督は会見で今後について明言を避けたのではないか」(前同)。

 パ・リーグでは昨季楽天の監督を務め、間を置かずにソフトバンクへ移籍し、新天地でもうまくフィットした平石打撃兼野手総合コーチの成功例がある。

 新生DeNAは〝ハマの番長〟として親しまれてきた三浦大輔二軍監督(46)の昇格が決定的。二軍監督には巨人、横浜で巧打の二塁手として鳴らし、侍ジャパンのコーチ、同U―12監督経験もある仁志敏久氏(49)を招へいする方向で話が進められている。そんな中で、果たしてラミレス監督は〝名誉職〟だけで満足できるのか。新たな可能性を模索しても何ら不思議はない。