阪神・福留孝介外野手(43)が、来季のチーム構想から外れていることが21日に明らかになった。プロ22年目の今季は打撃不振により、出場試合が43試合と激減。打率1割5分4厘、1本塁打、12打点にとどまり、9月には新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者扱いとして一軍登録を抹消され、現在は二軍調整を続けている。そんな大ベテランの進退に、古巣の中日が注目している。

 中日は代打の切り札的な存在がいない。それだけに福留に対して球団関係者は「中日に戻ってきて現役時代の晩年に代打で打ちまくったPLの先輩の立浪や川又、彦野のように活躍してほしい。そうなればオールドファンもすごく喜ぶと思う。今年、阪神で調子が悪かったといっても、福留の身体能力からすれば、まだ老け込むには早い。古巣で気持ちを新たにして臨めば、まだまだ結果を残せると思う。今でも裏方さんとか、福留のことを知っている人は中日にはいっぱいるからね」。

 福留は中日に在籍した1999年から9年間で3回もリーグ優勝を経験。それだけに中日内では「今のウチのほとんどの選手は優勝どころかAクラスさえ経験したことがない。そうしたひりひりした優勝争いの体験を若手に伝えたり、これまで福留の培ってきた経験や技術を選手兼コーチとして伝授してほしい」との声もある。

 加えて福留が中日時代の2004年以降は落合監督との確執もささやかれる間柄だったが、前出の関係者は「今では落合さんはGMとしても在籍していないし、もう中日とは何の縁もないから福留が戻ってくることはまったく問題はない」と進言する。

 その一方で別の関係者は「チームの若返りを目指そうとやっているところなのに、福留の獲得はその方針に逆行する。過去の実績はすばらしいものだけど、もうこれ以上周囲が期待できるほどの成績を残すのは難しいと思う。それなら若手に枠を与えてどんどん経験させて育てていった方がいい」との指摘も。

 福留獲得の可能性について球団首脳は「今は阪神で支配下登録された選手。(シーズン中に)何も言うことはありません」と明言しなかったが、今後、中日移籍が実現するのかどうか、注目される。