新型コロナウイルスの感染拡大によりプロ野球の開幕はいまだ見えてこない。そんな状況下でパ・リーグ2連覇中の西武では3月中に秋山に代わる新核弾頭・金子侑司外野手(30)が六本木での合コンをパシャリ。4月中旬には昨年のリーグMVPで新選手会長の森友哉捕手(24)が自宅に女性を呼び「濃厚接触」と題したバツの悪い記事をそれぞれ写真誌に掲載されてしまった。

 球団は森の記事が掲載された当初、写真誌側とのやりとり等に関して「一方的な女性側の証言だけで作られている。一部事実と異なるところもありますし球団として極めて不本意」(広報)としながら、当人に対して口頭で注意を与えた他は金子と同様、ペナルティーは科さない方針を示していた。

 好意的に解釈すればこれが西武の若手が伸び伸びと育つ土壌になっている。親にも怒られた経験のない今の時代の選手を頭ごなしに叱っても萎縮してしまうだけ。それよりも野球、私生活を含めてある程度のミスは許容し、やりやすい環境をつくってあげた方がいい。

 監督時代に「寛容力」というキーワードで選手を叱らずに褒める指導法を導入した渡辺GMが同期入団の辻監督にバトンをつなぎ、推し進めている“土壌改革”だが当然、周囲からの反発もある。

 西武OBの一人は「ひと昔前に金子や森のようなチームの秩序を乱す行動を取る選手がいればベテランが黙っていなかった。とりわけ伊東(勤)さんがいた時代ならロッカーでつるし上げられただろうし、清水雅さんにだってにらまれたでしょう」と厳しい時代を振り返りながらこう続けた。

「今の時代にそれをしてしまったら当事者がイップスになって野球どころじゃなくなるけど、やっぱり今の選手はユルイよ。そういうケジメをしっかり教えておかないと指導者になった時に本人が困る。その意味では今はおきゅうを据える先輩に代わって、写真誌がその役割をしているのかもしれない」

 野球に対する姿勢だけでなく、人間的成長がなければトップには行けない。育成巧者の西武が抱える課題のひとつが叱らずに、いかに人間教育をしていくかの部分だ。